2015年5月14日木曜日

MITの図書館からデザインシンキングを学ぶ

MIT Sloanでは、秋学期と春学期にSloan innovation period (SIP)という1週間の特別学習期間がある。2年生の春にとったデザインシンキング(Design thinking)のクラスが面白かったので、共有したい。

デザインシンキングとは
Design thinkingの定義は、著名なデザインコンサルティングファームのIDEOの言葉を引用すれば、下記のとおりである。

“Design thinking is a human-centered approach to innovation that draws from the designer's toolkit to integrate the needs of people, the possibilities of technology, and the requirements for business success.” —Tim Brown, president and CEO

ユーザーへのインタビューを通じて、本当の課題/ニーズが何なのかを徹底的に追求し、それを解決するソリューションを提供することである。IDEO、frog、ziba、日本ではtakramなどのデザインコンサルティング会社や、スタンフォード大学のd.schoolなどがこの分野では有名。ちなみにzibaの濱口秀司氏の講演は非常に面白いので、時間があったら見てみるとよい。彼はUSBのフラッシュドライブを発案した人でもある。イノベーションは、"バイアスを壊すこと"+"議論をうむこと"という意味も、彼の話を聞くとすーっとはいってくる。

MIT Sloanにもデザインクラブがあり、地域のレストランや小売店などに対して、デザインシンキングを使ったコンサルティングを提供している。

図書館の改革プロジェクト
今回のSIPの授業は、2.5日の集中講義で、MITの図書館のサービスを向上させようというものだ。我々のチームは「What partnerships or services capabilities should we offer to provide a more holistic experience for users?」というお題が与えられた。実際に図書館に出向き、約10人の利用者に短いインタビューを行い、彼らのニーズを聞いて回る。インタビューから得られたインサイトは以下のものだった。
  • 学生は思ったよりも現状のサービスに満足している
  • 外部のリソース(Writing centerなど)を持ってきてほしいというニーズはなかった
  • ライブラリアンに聞かずに、欲しい情報にアクセスできるといい
  • 貴重品管理や深夜の帰宅など、安全面では問題意識を持っている人がいる
  • 休憩をとりやすい環境があれば、作業効率があがる
このインタビュー内容を色々な角度から整理し、課題を解決するためのアイデアをブレインストーミングして、ポストイットに書いてペタペタ貼っていく。それを"実行性"と"付加価値"の2軸でマッピングし、最後に下記のボードのように取捨選択する。自分は、ドローンを使って本を届けるとか、MITメディアラボで研究されている可動式の机/椅子を導入するとか、テクノロジー寄りのアイデアを複数提案したが、最後は"実行性"の観点で不採用となった笑。






最終的に我々のチームは、「Continuous Peace of mind」というビジョンの下で、「Help me spend uninterrupted time in the library」というコンセプトを提案し、図書館における理想的な行動パターン "Undisrupted journey"を示すと共に、安全面の確保(ロッカーの設置、シャトルのスケジュール表示)と利便性向上(トイレやロッカーなどのサインボードの設置と席の空き状況表示)のツールを提案した。

"ブレインストーミング中は他人の意見を否定しない"、などいくつかのルールがあり、多様な意見を一旦受け止めることにより、より深いものが出来上がっていく。"一人で作業するより、チームで作業する方がいいものができること”を、実際に肌で感じ取る代表的な経験となった。

卒業まであと22日!!!

P.S. ニューヨークの自由の女神





にほんブログ村 MBA・MBA取得

0 件のコメント:

コメントを投稿