2015年6月24日水曜日

バングラデシュの魅力的な市場環境とスラム街での社会貢献事業の視察 


MITを卒業して3週間が経過した。ボストンから地球を反時計回りしながら、7カ国周遊して日本に帰国する予定。現在滞在中のバングラデシュは、モロッコ、インドを経て、3カ国目。この国での3日間の滞在中に、首都ダッカのスタートアップやインキュベーターの共同創業者、現地コンサルティング会社の社長、現地の交通系スタートアップの共同創業者、若手日本人起業家、日本発ベンチャーの現地オフィス代表、JICAのODA担当者にお会いし、様々なトピックについてディスカッションを行い、有意義な時間を過ごすことができた。

1)バングラデシュのポテンシャル
現地で聞いた話やマクロ情報を踏まえると、一言で"バングラデシュはアツい"!!もちろん課題も多くあるが、よい面では特に以下の点が印象に残った。
  • 人口は世界で第8位の1億7千万人(2015年)
  • 2013−2018年の平均GDP成長率6.6%。中国、ナイジェリアに次いで世界第3位(出所:IMF)
  • 依然、繊維産業が輸出の8割超(ZARAやH&M等が主要な顧客)を占めるが、中国やインドの人件費高騰を背景に、IT産業など新しい輸出産業が育ってきている
  • 外資規制が他国に比べて緩く(原則、外資による100%出資可能)、比較的外資企業が参入しやすいことに加え、BOI(Board of Investment)等から様々なサポートを受けられる
  • 人なつっこい国民性。日本人との相性もよい(インド人とは仕事したくないけど、バングラデシュ人となら。。という人も多い)
  • 親日度の高さ(日本の円借款等を通じた多額のODAのおかげ。ビザも横にいた中国人はお金払ってたけど、なぜか自分は日本人ということで無料)
  • ローカル企業の経営レベルの低さ(経営ができる人材がほとんどいないので、ローカル企業も外資にある程度頼らざるをえない。従って、日本企業(外資)の視点からするとローカル企業をコントロールしやすい)
  • (現状では)インド等と比べると外資の参入が少なく、競争環境はそこまで厳しくない

ここでは割愛するが、個人的に決済ビジネス、マイクロファイナンスの自動化、渋滞解消サービスに、特に重点を置いて、彼らとディスカッションを行い、多くのヒントを得ることができた。

2)スラム街におけるNGOの社会貢献事業を学ぶフィールド・トリップ
BRAC(Bangladesh Rural Advancement Committee)という世界最大のNGOが、実はバングラデシュにあるのをご存知だろうか。12万人を超える職員を抱え、マイクロファイナンス、ヘルスサービス、教育サービスなどを提供し、巨大なコングロマリッドの形相を呈する。例えば、2014年は売上高が538百万ドル(約650億円)あり、マイクロファイナンス事業が売上の32%をしめる最大の事業となっている。BRACは、卒業式スピーチでふれたノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスが創業したグラミン銀行と並ぶ最大規模のマイクロファイナンス機関である。こうしてあげられた収益は、株式会社が株主に還元するように、NGOとして社会貢献事業のために使われている。

自分は、半日のBRAC Visitor Programに参加し、現地でBRACが提供するサービスの恩恵を受けている人たちに話を聞くことができた。非常によい体験だったので、簡単に紹介したい。

このプログラムは、簡単な履歴書やChecklist formと呼ばれるアプリケーションフォーム(参加の目的など)を記入すれば、恐らく誰でも参加できるのではないかと思う。自分は1人で申し込んだが、自分が見たいと思う活動(リストはWebsiteから見ることができる)を具体的に指定し、それに応じてカスタマイズしたプログラムをBRACの職員が作ってくれる。自分は時間の制約で、半日のダッカ市内のスラム見学を希望したが、1日ー3日の比較的長いプログラムも組んでくれるので、希望すれば、地方の農村を訪れることもできる。費用は、アレンジするプログラムの内容によるが、Websiteによれば1人辺り$25−35なので非常に安い(自分は$25)。

今回は、ダッカの中心部より西寄りにあるMohammadpurというスラム街で、BRACが提供する教育センター(小学校に相当するもの)、出産支援を行うマタニティーセンター、マイクロファイナンスを利用する酪農家を訪問した。マイクロファイナンスは、別ポストにてふれるとして、今回は、教育センターとマタニティーセンターの様子を紹介する。

A)教育センター
BRACは、114万人の子供たちに対して、38,000の小学校を提供しており、すでに951万人の卒業生を輩出している。

自分が訪れた学び小屋には30人ほどの子供たちがいた。金曜日を除く、週6日、朝の8時から昼の1時まで学校に通う。日本でいう小学校にあたり、1−5年生まである。7−8歳で入学し、1年生分のプログラムが約9ヶ月なので、11−12歳で卒業する。卒業後は、政府が運営するセカンダリースクール(中学校)に通う。科目は、ベンガル語、英語、算数、理科、社会+もう1科目の全6科目。政府が運営する小学校の数が圧倒的に不足しており、近くに学校がない子どもたちのために、BRACが教育の機会を提供している。

BRACは1−3年生までBRAC独自の教育プログラムを提供しており、4−5年生は、政府のプログラムと同じ内容を教える。自分が会った子どもたちは3年生で、他の学年の子供達は別の建物で教育を受けている。小学校の運営コストは、土地のオーナーに対する家賃が200タカ(1タカ=約1.6円)、BRACが雇用している教師の給料が2000タカ/月となっており、それ以外に、生徒に無償で教科書や教材が提供される。

こちらが一方的に質問するだけでなく、好きなフルーツは何かとか、あなたの国の歌を歌ってほしいなど、生徒からも色々リクエストが飛んでくる。歌を歌ってほしいというリクエストがあまりに不意打ちで、パッと思いつかなかったので、君が代を歌ってしまったが、もう少し明るい歌でもよかったかなと今になって思う。子供たちは無邪気で明るく、最後にみんなで記念撮影して終了。

教育をきちんと受けてしっかり勉強すれば、よい仕事について安定した幸せな生活を送れるというメッセージを込めて、Ideal Houseという模型をつくる授業もあるようだ。スラムに住む子供たちにとって、きちんとした家を持つことは1つの夢なのだ。


歌やダンスを披露してくれる小学校の子供たち①

歌やダンスを披露してくれる小学校の子供たち②

IDEAL HOUSE (スラム街の子供たちの1つの夢)


B)マタニティーセンター
BRACでは、97,000人のヘルスケアワーカーがサービスに従事しており、2,450万人の生命維持に必須なヘルスケア支援を行っている。

地域の住民は、妊娠が発覚すると、マタニティーセンターに登録することにより、月1回の妊婦指導を受けることができる。また、つわりがひどくなったりすると、センターで休んだり、医者に診てもらうことができる。出産後に緊急の事態が発生した場合は、病院に搬送され、通常の半額の費用で治療を受けることができる。この回で、Embraceという保温器を例に、世界では毎年、1億人が産まれた日になくなり、3億人が産まれて数週間以内に亡くなっている事実を紹介した。BRACはマタニティーセンターのサービスを提供することにより、少しでも妊娠中の胎児や出産後の乳児の死亡率(Infant mortarity rate)を下げる取り組みを行っている。

Maternity Centerの入り口

助産婦による妊婦指導

分娩室


次回は、個人的に非常に勉強になったマイクロファイナンスの事例について紹介したい。



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2015年6月4日木曜日

MBA生活・ブログの総括 -2年間の学びを振り返る


いよいよ明日は卒業式。人生の次のステップに進むわくわく感と、この2年間が恋しいような不思議な気分だ。1ヶ月前にこのブログをはじめた時に、目次のようなものをつくったが、今日はそれをなぞる形で、ブログの内容をまとめ、MBA生活の学びの総括をしたいと思う。

1.MITで技術の商業化に取り組む
技術の商業化のプロセスについて、I-teams()という授業を通じて、体系的にかつ実践的に学ぶことができた。詳細をブログで語れなかったが、この春にコンピュータ・サイエンスのラボと通信技術の商業化に取り組んだ際にも、このノウハウが活きたと思う。技術という、様々な制約をかかえ、世の中のニーズと100%一致していないところから、ビジネスをスタートしたときに、どのようにマーケット(アプリケーションや地域)を選択し、一つ一つの課題を乗り越えていくべきかの肌感覚を得ることができた。世界トップの理系の大学であり、エンジニアリングとビジネスの融合をモットーとするMITだからこそ得られた貴重な経験だったと思う。

イノベーションの種が次々と生まれ、そして消えていく。研究者・開発者たちが人生をかけて取り組んだ挑戦を1つでも多く世の中に出していくこと。大学生の時に、弁理士の資格を取得したときも同じ気持ちだったが、これを長期的視点で、自分のライフワークにしていきたいと強く感じるようになった。


2.スタートアップへの支援とものづくりへの情熱を確認する
この2年間、世界中を飛び回り、スタートアップ(中国フィリピンセルビア①アフリカ日本)の経営者と議論を交わし、成長戦略や海外展開をサポートし、ビジネスにおける普遍的なアプローチとローカライズの両面の重要性を学んだ。例えば、Entrepreneurial Salesの授業で営業マネジメントを学び、セルビアのプロジェクトでは営業プロセスの構築・導入を実際に支援した。MITがモットーとする理論と実践(Mens et Manus)を通じて、学びをより深いものにすることができた。

また、"日本の企業はグローバル化に課題を抱えている"とよく言われるが、世界中の多くの企業が同じ課題で悩みながら、日々戦っていることを再認識した。

もう1点は、半導体の研究を大学・大学院と行い、金融機関では日本のものづくり企業の支援を行ってきた経験から、やはりものづくりが好きだということを改めて感じ、この2年間ものづくりへの関わりを1つのテーマとして取り組んできた。MITの100Kというビジネスコンペでファイナリストになったアイデアも、短期間お世話になった魔法のリングの会社も、ウェアラブルデバイス関連であった。

一方、ハードウェアスタートアップは、事業化のハードルも高い。少しでも成功率を高めていくためにも、先人たちの経験(初期のハードウェアスタートアップ経営者が絶対に覚えておくべき数字集)から学ぶことが重要であると痛感した。


3.様々な授業を通じて、ビジネスを俯瞰し、知的好奇心を満たす
MIT Sloanの提供する様々なプログラムを通して、知的好奇心を満たすことができた。自分はアントレプレナーシップに関連する多くの授業をとってきたが、それ以外にも複数の興味深い授業を紹介した。

システムダイナミクスを通じて、世の中の複雑な事象を因果関係のループで描き、体系的にとらえることで、事業を成功に導くための俯瞰的視点を得ることができた。また、戦略論の授業を通じて、UberやAirbnbを例にシェアリングエコノミー()などの新しいトレンドを学び、既存ビジネスとの競争、新規参入、代替サービスの脅威について紹介した。

その他、フリーミアムモデルの音楽配信サービスを通じてソーシャル・マーケティングを学び、MITの図書館の課題を通じてデザインシンキングを考え、ボストンのNPOのマーケティング上の課題に組織面からアプローチした。

ビジネスは原理原則が通じないフィールドでもあるが、こうした先人たちの知恵は、困難に直面した時に、どう次のステップを考え、乗り越えていくかを思考する際の礎となるだろう。これらの学びを何かのきっかけで思い出し、Steve Jobsが卒業式のスピーチで訴えたConnecting Dotsとなって、自分の人生の中で、線となって繋がっていくことを待ちたい。


4.リーダーシップ/コミュニケーション能力を高める
課題を通じて、様々な国籍・バックグランドの学生とガチンコ議論1000本ノックを経験し、時には落ち込み、時には達成感を感じ、自信と対応力を身につけた。英語は暗記するものと割り切り、留学する直前までほぼ話したことがない状況から、議論し合える瞬発力を身につけるところまで到達できたことが、グローバルにビジネスを行っていく自信に繋がった。

リーダーシップという日本では馴染みがない言葉も、様々な類型はあれども、実は情熱とコミットメントを示し続けることだという、1つのシンプルな自分の中の解を得ることができた。チームワークで貢献する方法については、自分の強み・弱みを把握し、誰とチームを組み、どういうチームづくりを目指すかのヒントを得ることができた。

日本を紹介するSloanの文化祭MIT Asia Business Conferenceを通して、楽しみながら、イベント運営のノウハウを学び、チームをリードし、若き日の青春を思い出すような気持ちになった。


5.MBA生が通るいばら?の道を紹介する
TOEFL・GMAT等と戦ったMBA受験シリコンバレーを楽しんだサマースクール、MBAの就職活動(日本人MBA生の就活事情レジュメやカバーレターの書き方)、夏のコンサルティング会社でのインターンMBAでの苦労・ギャップといったMBA生の多くが経験するプロセスについても、自分自身の経験を中心に紹介した。こうしたプロセスを通ることで、忍耐力・対応力がつき、一回り成長することができるだろう。MBAの受験生や、これから海外留学をする方々の少しでも参考になればと思う。


6.ボストン生活を楽しむ
ローカルビールの産地であるボストンという街の素晴らしい生活環境を楽しみ、ボーゲル塾という貴重な場を通じて、様々なバックグランドの人々と利害関係なく日本の将来を議論しあい、ネットワーキングができた。初めて日本の外で住んだ街がボストンで本当に幸運であった。この2年間のボストン生活を一生忘れることはないだろう。


ついに明日、卒業!!!

P.S. アメリカのグランド・ティトン国立公園



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2015年6月3日水曜日

営業で会社を成功に導く- アメリカと日本の営業カルチャーの違い

Entrepreneurial Salesという今学期とった授業が、非常に面白かった。

セールスの授業なので、セールステクニック的なものも教えてくれる。2人1組で営業のデモンストレーションを行い、ビデオで撮影する課題が複数あるので、アメリカ人の営業スタイルを見ることができて面白い。半分ショーみたいに大げさな人も結構いるし、顧客の前で足組んで堂々としているので、日本との違いを感じる笑。

例えば、顧客知識と営業スキルでは以下のものが挙げられる。

顧客知識
  • 誰が意思決定者なのか、あらゆる角度から会社の情報をおさえる
  • 大企業の場合、どういう人が意思決定に関わっているかをおさえる。例えば、使いやすさを重視する実際のユーザー、IT部門など技術スペックを気にする部署、購買部/財務部など製品価格を気にする部署、リスク管理部や法務部などリスクを気にする部署、外部のコンサルタントなど
  • クライアントが何を知りたいのか、Financial impact、Operational impact、Business impactの中から注意深く観察する。従って、売り込むより、クライアントの話をよく聞き、コンサルテーションすることが重要
営業スキル
  • 他社製品をけなさない(過去にその製品を使った可能性もあるため)
  • 他社製品を一度褒める(2000年代前半はすばらしい製品だったんですよね〜)
  • 顧客とのパートナーシップを強調し、共通の敵をつくれ(例えば、リテールに営業する時は、我々の製品はハイスペックで御社で扱う製品としては最適です。パートナーシップを組んで、一緒にウォールマートを倒しましょう)
  • 営業はショーだと思って、製品への深い情熱を示せ
  • 自社製品のメリット/デメリットをあらかじめ整理し、顧客からの質問に対する対応に備えよ
  • ミーティングの目的を常に意識し、契約までの最大の障壁を少しずつ取り除け
  • NOと言われたときにも諦めるな。NOの裏にある理由をサーチせよ。リカバリーするためにクライアントの誰に会うべきか、自社の誰を連れていくかを意識せよ

これらは日本で巷に溢れている営業テクニックの本を読んでも見つけられると思う。自分もベンチャー時代は、誰にも教えをこうことができないので、営業本を20冊くらい読みあさっていた笑。

この授業で最も面白かったのは、営業マネジメントだ。授業では幅広い営業のトピックを扱い、毎回、あなたならこのケースでどう対応する?と問われる。特にスタートアップは資金が限られているので、間違った経営判断が命取りになるケースがある。

例えば、1)営業の割当は、地域ごとにすべきか、クライアントごとにすべきか、2)日本の代理店が全然ノルマを達成できていない。契約を解除すべきか、そのリスクは?、3)成果が上がらない営業がいる一方で、6ヶ月以内に大幅売上増をチームのノルマとして達成しなければならない。人材の採用からトレーニングまで通常3ヶ月はかかる。この人材を解雇すべきか?、4)セールスを初年度に10人採用する。どの州に何人ずつ割り当てるべきか?その理由は?、5)現状は、電話営業のチーム(Inside Sales)のみ。外回りの営業チーム(Field Sales)をつくるべきか否か。

ケース毎の会社の業種/事業環境から、適切な戦略を考えるのだが、クラスメートの中でも意見が割れるので、非常に面白い。

この授業を通じて、アメリカの営業について印象に残った点を2点ほど紹介したい。

アメリカの営業における厳しい成果主義
アメリカの営業はハイリスク、ハイリターン型の仕事だと思う。色々なケースを読んでいると、基本給$150,000(約1,800万円)、成果給$150,000(約1,800万円)という会社がいくつも出てくる。正直、こんなにもらえるの!?って思うが、その裏には厳しい成果主義があり、成果を出せないとすぐにクビになる。特にスタートアップでは、成長フェーズ(シリーズB以降)で営業の採用を強化するので、間違った人材を多く抱え込むと、売上が上がらないけど、給与を支払わなければならない状態に陥り、資金が枯渇するリスクがあるため、徹底的な成果主義がとられている。

ただ、こうしたノルマ主義の弊害があるようで、実際のケーススタディーでも以下のようなケースを扱った。
"ある営業マンが、会社が販売を強化している新製品の営業を行わず、解雇されてしまった。すると、複数のクライアントから、彼がいないのであれば、もう取引はしないと抗議された。この営業マンは、顧客のニーズにあうもの以外は売ろうとせず、性格的にも穏やかでクライアントに好かれる人だった。あなたはこの営業マンを解雇すべきだったと思うか?"

科学的に組織されたアメリカの営業
アメリカの営業は科学的に組織されていると思う。営業を細かいプロセスに分解し(Sales Funnel)、各プロセスにおける成功/失敗の統計をとって最適化したり、自動化できる部分はどんどん自動化していく仕組みが整っている。日本でも多くの企業でセールスフォースが使われているが、アメリカはセールスフォースを中心とする営業・マーケティングのサポート・自動化ソフトのエコシステムがすごい。例えばこのスライドを見ると、顧客管理ソフト(CRM)ならInsightly、顧客へのアプローチを強化する(Lead Management)ならHubspotなど、ニーズに応じた様々なソフトウェアを見つけることができる。

卒業まであと2日!!!

P.S.  アメリカのアンテロープキャニオン、レイクパウエル、モニュメント・バレー







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2015年6月2日火曜日

魔法のリングの会社で働く

今、アメリカの国立公園内に滞在していて、Wifiや携帯の電波がない、自然との共生を楽しんでいる。昨日更新できなかったエクスキューズなのだが、気を取り直して残りの記事も書いていきたい。

Ring(社名はLogbar.Incだが、以下製品名のRingで統一する)という製品を知ったのは、2013年の秋。当時Ringが公開したYoutubeの動画がMITの中で話題になっていた。”めちゃくちゃクールだ”とか”こんなの1年でできるはずない”、と友人たちが話をしていたのを思い出す。コンセプトビデオはこちらなので、まだ製品を知らない方がいたらぜひ見てほしい。

Ringは、"Shortcut everything"をコンセプトにするウェアラブルデバイスである。指輪型のデバイスを装着し、指でジェスチャーを描くことで、電球、TV、音楽のOn/Offや、様々なアプリを起動することができる、Internet of Things(IOT)の代表的製品だ。

当時、会社に関する情報がほとんどなかったのだが、調べて見るとどうやら日本の会社らしいということがわかった。ハードウェア・スタートアップの経営に関心があったので、アーリーステージの会社が、資金調達、生産、物流、販売をどのようにやっているか学びたいと思い、会社に直接メールを送り、2週間だけ在籍させてくれないかとお願いしたところ、CEOの吉田さんから快諾いただいた。

当社はコンセプトを発表してから、7ヶ月でKickstarterキャンペーン、1年で製品販売までこぎつけた。ハードウェアのスタートアップとしては異例のスピードだと思う。

私がお邪魔したときは、ちょうど最初の製品の販売直前だったので、販売契約書などのドキュメンテーション/物流の構築/製品パッケージの検討など、ビジネス面での動きが出始めているタイミングで、非常に面白かった。先日紹介した初期のハードウェア・スタートアップ経営者が絶対に覚えておくべき数字集のセミナーに参加したのは、この会社で働いた後だったので、Ringをイメージすることで、セミナーの様々な数字がスーッと頭に入ってきた。

当社について、個人的に特に印象的だったのは、1)マーケティング戦略が非常に素晴らしく、2)ファンディングが理想的に進んでいる点だ。

マーケティングについては、ビデオマーケティングをうまく活用することで、効率的にグローバル展開している。長々としたプレゼンテーションや事業計画書より、一瞬で人を惹きつけるビデオのようなコンテンツの重要性を改めて感じた。日本のスタートアップでありながら、SXSWやCES等のアメリカの展示会を活用し、米国メディアからも注目を集めた。2015年には、CESのInnovation AwardでHonoreeも獲得している。Ringは、イベントに出展すると、必ずビデオを撮影/編集し、ウェブサイト上で公開する。マーケティングにおけるリサイクルの重要性は、セルビアのスタートアップへのコンサルティングでも少し触れたが、それを忠実に実行している会社という印象を受けた。

ファンディングは、ハードウェアスタートアップを最も苦しめるものだと思う。最近は、日本のVC投資もバブっているので、ハードウェアスタートアップに数億円という話も見なくはないが、自分の金融機関の経験を踏まえても、ハードルは高い。Ringは、今のところ、初期投資から、クラウドファンディング、VC投資まで、理想的にファンディングを進めている。初期の従業員を雇う費用は、初期投資がなければ難しかっただろうし、Kickstarterがなければ早期に大量生産までこぎつけるのは難しかっただろう。RingはKickstarterで約$88万ドル(約1億円)を調達しており、世界的に見てもハードウェアスタートアップとして、Kickstarterで最も成功した会社の1つだ。

2015年の4月に第二弾のRing Zeroを発売している。Ringの道のりもすべてが平坦だったわけではないが、日本を代表するハードウェア・スタートアップとして、今後の益々の活躍を期待したい。自分も世界をわくわくさせる製品をつくりたいと感じさせてくれる会社であった。

卒業まであと3日!!!

P.S. アメリカ・イエローストーン国立公園


2015年5月31日日曜日

レジュメとカバーレターの書き方

アメリカでの就職活動では、レジュメとカバーレターを要求されるケースが多い。ビジネススクールでも、1年生の1学期が始まると、就職課がレジュメの相互レビューセッションを開いたり、コミュニケーションの授業でカバーレターの効果的な書き方を教えてくれる。

レジュメとは、日本語でいう履歴書と職務経歴書をあわせて1枚の紙にまとめたようなものだ。MBAの受験プロセスでも、レジュメはエッセイを書き始める前に作成する最初の書類である。自分のスキルセットの棚卸しをしながら、ブラッシュアップしていく。カバーレターは、日本語でいう志望動機書のようなもので、"わたしはこういうスキルを持っているので、御社にとってベストな人材です"とアピールするためのものだ。

レジュメについて
以下、レジュメを作成の際の要点を箇条書きする。アメリカでの受験や就職において、レジュメは最も大事な書類なので、"どういう能力がある人物なのか"、Resumeを見るだけで浮かび上がってくるようになるレベルを目指す。Resumeは、多くの人材会社が紹介しているのでそれを参照したり、LinkedInで他人のプロフィールを見て参考にするとよい。
  • A4で1枚におさめる
  • フォントは、Times New Romanの10ptがよい
  • 雇用主と学校名はすべて大文字で記載
  • 職歴、学歴、その他に分けて記載。学校に所属していたら、学歴>職歴>その他の順。会社に所属していたら、職歴>学歴>その他の順
  • 学校や会社でのタイトル(Candidate for MBA, June 2015 / Vice President)、所属期間(例: 2008-2012 / 2013-Present / Summer 2014)、場所(Cambridge, MA / Tokyo, Japan)を記載
  • 読み手が所属している会社を知らなそうであれば、会社の事業内容を簡潔に記載
  • 過去の実績について箇条書きで書く。ただの職務歴の箇条書きにならないよう注意する。主語はいらない。
  • アクション動詞を使うと共に、同じ動詞を繰り返し使わないよう留意。アクション動詞はこちらのリストを参考にする。ちなみにこの動詞を覚えておくと、一般的な英語のライティングでも非常に有用
  • 実績には可能な限り数字をいれる。ZeroからTenまでは数字ではなく、言葉で書く(例: 7ではなくseven)
  • 賞や表彰などがあれば、必ず書くようにする(Semi-fainalistとかでもOK)
  • その他については、語学スキル、コンピュータスキルを記載。インタビューでのネタづくりにもなるので、趣味/特技などの記載も効果的。こちらで述べた通り、Visaは大きな問題になるケースがあるので、例えば、U.S. Permanent Residencyなど、就職の際に優位に働く情報がある場合はそちらも記載。
  • (上級編)複数の業界をまたがった仕事をしてきた場合には、各会社でのタイトル毎に記載するのではなく、スキルセット毎にまとめて書くと効果的な場合がある

カバーレターについて
  • まず、出願先のJob Description(職務記述書)を読み、求められる能力/人物像を把握する
  • 会社のリサーチを会社のウェブサイト、ニュース、アナリストレポート等を使って行い、会社の人に会って実際に話を聞く。当たり前に聞こえるが、良いカバーレターを書くためには重要なプロセス
  • 実際に会社の人と話したことがないと、志望度についても疑念を持たれる可能性がある。現職の従業員と話をした場合には、カバーレターで言及しても良い
  • 自分がどのように会社に貢献できるか、自分がハイライトしたいスキルセットと説得力のストーリー(過去の経験)を記載する。この会社に入ることが自分のキャリアにどう役立つかという記載がメインにならないようにする
  • ストーリーを簡潔に書く点がレジュメと異なる。カバーレターはレジュメにリンクしているので、このスキルや経験がレジュメにも書かれている必要がある。言い換えれば、カバーレターは、レジュメの経験の中からハイライトしたいものをもう少し具体的に書く位置づけになる
  • カバーレターはフォーマットがあるので、それに従う。日付、自分の名前、住所に続いて、出願先のコンタクトの名前、肩書き、部署、出願先の会社の名前、住所の順番で書く。
  • 以下は、文章の構成
    1. 最初のパラグラフは、自分が出願しているポジションとその理由を記載する
    2. メインのパートでは、会社が求めるかつ自分が強みとするスキルを3−4個取上げ、出願先の事業目的にこれらのスキルがどう貢献するか、ストーリーと共に記載する
    3. 最後の段落では、自分がその会社とポジションに興味があることを再度強調して、結びとする
      <コンサルティング>
    • Conceptual problem solving/analytical/quantitative skill
    • Persuasive communication skills and ability to influence change
    • Client relationship skills
    • Intellectual curiosity and ability to learn quickly
    • Adaptable to diverse working environment
    • Project management/prioritization

      <投資銀行>
    • Analytical/quantitative skills
    • Passion for deal-making & financial markets
    • Client relationship skills
      Strategic communication and negotiation skills
    • Resourcefulness
    • Ability to thrive under high pressure
    • Stamina, perseverance

以上が、MBA受験や就職活動で重要となるレジュメ/カバーレターの紹介だ。

卒業まであと5日!!!

P.S. シンガポールのマリーナベイサンズとマーライオン


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2015年5月30日土曜日

自己啓発的な卒業式スピーチ5選


今年の3月の卒業式は、東大の教養学部の式辞や、近畿大でのホリエモンの”未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きよ”というスピーチが話題を呼んだ。自分も大学院の卒業式まで1週間を切った。今年のMITの卒業式スピーチ(Commencement Address)は、アメリカ政府の最高技術責任者(CTO)でグーグル元幹部のメガン・スミス氏だ。

テレビはあまり見ないのだが、時間があるときに、大学の卒業式スピーチの動画は結構見たりしている。さすが卒業生へのはなむけの言葉だけあり、ユーモアあり、感動ありで、非常に面白いスピーチが多い。

そこで、今日は、自分が特に感銘を受けた5つの米国の卒業式スピーチから、印象に残った言葉を引用したいと思う。

1. スティーブ・ジョブズ、アップル創業者兼前CEO、2005年スタンフォード大学
"Stay Hungry. Stay Foolish."という名言を残したスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチ。10回以上は見たと思う。人生の点が将来、線になることを信じて、今を生きよ(Connecting Dots)、喪失感/失敗を経験しても自分の好きなことをやり通せ/見つけるための努力を続けろ(Love and loss)、人生はいつ何がおこるかわからないので、他人に惑わされず自分の人生を生きよ(Death)という3つのメッセージ。彼の人生観を裏付けるストーリーが、感動を呼ぶ。

"Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life."

"I'm pretty sure none of this would have happened if I hadn't been fired from Apple. It was awful tasting medicine, but I guess the patient needed it. Sometimes life hits you in the head with a brick. Don't lose faith. I'm convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle."

"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma — which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary."



2. ドリュー・ヒューストン、ドロップボックスCEO、マサチューセッツ工科大学2013年
MIT卒業生で、オンラインストレージを提供するドロップボックスCEOの卒業式スピーチ。"あなたは、自分のまわりにいる5人の平均なので、尊敬する人を自分のサークルにいれよう"、"人生は30,000日しかない。自分の人生をパーフェクトにするのではなく、面白いものにしよう"というメッセージ。雨の卒業式が独特の雰囲気を作り出す。

"They say that you're the average of the 5 people you spend the most time with. Think about that for a minute: who would be in your circle of 5? I have some good news: MIT is one of the best places in the world to start building that circle. If I hadn't come here, I wouldn't have met Adam, I wouldn't have met my amazing cofounder, Arash, and there would be no Dropbox."

"Meeting my heroes and learning from them gave me a huge advantage. Your heroes are part of your circle too — follow them. If the real action is happening somewhere else, move."

"So that’s how 30,000 ended up on the cheat sheet. That night, I realized there are no warmups, no practice rounds, no reset buttons. Every day we're writing a few more words of a story. And when you die, it's not like "here lies Drew, he came in 174th place." So from then on, I stopped trying to make my life perfect, and instead tried to make it interesting. I wanted my story to be an adventure — and that's made all the difference. "



3. ビル/メリンダ・ゲイツ、ビル&メリンダ財団共同代表、スタンフォード大学2014年
ご存知の通り、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツと奥さんのメリンダ。2人で卒業式のスピーチをするのは非常に珍しいのでインパクトがある。貧困を統計でしか見たことがなかったビル・ゲイツが、貧困の現場を訪れてショックを受けたことを例に出し、1)楽観主義からうまれるイノベーションと、2)苦しんでいる人々への真の共感と慈悲精神の2つが、世界を変えるためには必要だ、と説く。

"Even in dire situations, optimism can fuel innovation and lead to new tools to eliminate suffering. But if you never really see the people who are suffering, your optimism can't help them. You will never change their world," 

"tears down barriers and opens up new frontiers for optimism."



4. J.K. ローリング、ハリーポッター著者、2008年ハーバード大学
"人間は、より良い世界を想像する力を持っているので、苦しむ人々のためにその力を使い、声をあげれば、世界を変える大きな力になる"と訴える。想像力の欠乏への警告と共に、はばたくエリートたちが将来もつであろう影響力は、"特権でもあり、責任でもある"と鼓舞した。なお、J.K.ローリングはこのスピーチと同時に、ハーバード大学から名誉博士号が送られている。

"If you choose to use your status and influence to raise your voice on behalf of those who have no voice; if you choose to identify not only with the powerful, but with the powerless; if you retain the ability to imagine yourself into the lives of those who do not have your advantages, then it will not only be your proud families who celebrate your existence, but thousands and millions of people whose reality you have helped change. We do not need magic to change the world, we carry all the power we need inside ourselves already: we have the power to imagine better."



5.モハメド・ユヌス、グラミン銀行創設者、マサチューセッツ工科大学2008年
マイクロ・クレジットを世界に広めたノーベル平和賞受賞者のモハメド・ユヌスのスピーチ。"人間は多面的な視点を持っている。人間がビジネスから得られる幸せは、利益の最大化だけではなく、社会的意義の達成にもあるはずだ"、"貧困は、資本主義の仕組みにより、人々に降りかかったものであり、仕組みを変えるのは難しい"、"だからこそ誰にでもアクセスできるITやヘルスケアサービスを提供すると共に、ソーシャルビジネスを市場原理に組み込むことが重要だ"、と訴える。

今度訪問する予定のバングラデッシュでは、多くの企業がグラミングループと提携している。その哲学が企業の中でどのように生きているかを感じてきたい。

"I know maximization of profit makes people happy. I don't maximize profit, but my businesses are a great source of my happiness. If you had done what I have done you would be very happy too! I am convinced that profit maximization is not the only source of happiness in business. 'Business' has been interpreted too narrowly in the existing framework of capitalism. This interpretation is based on the assumption that a human being is a single dimensional being. "

"Poverty is not created by the poor. It is created by the system. Poverty is an artificial imposition on people. Once you fall outside the system, it works against you. It makes it very difficult to return to the system."

"We can easily reformulate the concept of a businessman to bring him closer to a real human being. In order to take into account the multi-dimensionality of real human being we may assume that there are two distinct sources of happiness in the business world æ 1) maximizing profit, and 2) achieving some pre-defined social objective. "

****************************

結構な数の卒業式(Commencement)のスピーチを見ると、メッセージはどれも似通ってることが多い。それでも感動するのは、彼らの圧倒的な実績とそれを生み出すきっかけになった人生のストーリーが言葉に重みと感動を作り出すからだ。

卒業まであと6日!!!

P.S. 米国のホースシューベンド/ザイオン国立公園



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2015年5月29日金曜日

中国企業の海外戦略における苦悩

China Labという中国企業にコンサルティングをする授業で、中国の北京に2週間滞在した。この授業は、中国の学生とチームを組むのが特徴で、MIT Sloan MBA2人(インド人と自分)と清華大学の中国人MBA2人でチームを組んだ。

我々のクライアントは、大学発の特許を有する高性能LED電球をつくるスタートアップで、アメリカへの海外展開に関する調査の依頼があった。中国でもまだほとんど売上がない状態だったが、コスト面が重視される中国市場より、高性能商品が求められる先進国市場を攻めたいという理由で、海外進出を優先している。

社長が、アメリカにコネのあるブローカーとアメリカの大手量販店との取引を進めており、アメリカ進出の価格戦略を策定するというものだ。こちらでも紹介したが、バリューベース、マーケットベース、コストベースでの価格算定を行ったうえ、最終的に、プレミアム市場(高価格)ではなく、スタンダード市場(中価格)への進出をアドバイスした。

照明の色の質が重視されるプレミアム市場では、当社製品の最大の特徴である”長寿命”が差別化要因にならないことに加え、フィリップスやGEなど著名な照明メーカーが競合としてひしめく中で、無名の中国メーカーがシェアを拡大していくのは非現実的であった

一方、スタンダード市場は市場規模が大きく、"長寿命"などの特徴が重視されるので、他社より安い価格を設定できれば、価格面と性能面で競争力のある製品として、無名のブランドでもシェアを拡大できるのではないか、という仮説だ。

しかし、現状では、スタンダード市場に進出するにも、当社のコスト構造の高さがネックになっている。アメリカで製品を販売する場合、スタートアップ経営者が絶対押さえておくべき数字集でも述べた通り、輸送費(中国から米国への海上輸送と米国内での国内輸送)、関税、そして約30%の量販店に対するマージンがかかるので、コストベースで積み上げていくと、製造コストの約2.5倍が最終販売価格の損益分岐点になる。

LEDはコモディティ化が進んでおり、ブランド力を持つ欧米メーカーの高性能品でもかなり安売りされている。従って、現状のスタンダード市場に進出した場合、我々の試算では、当社の利益がほぼゼロか、若干赤字になってしまう可能性があった。そこで、量産化によるコストダウンに加え、実際に工場を見学し、生産ラインの課題の指摘や自動化の提案などを行い、コスト競争力のある製品をつくるための土台づくりが重要である点を強調した。

MBAの授業では、様々な企業のCEOから海外進出の話を聞くことが多いが、一部の成功企業の裏で、多くの企業が失敗している。ネットワークを持たず、土地勘のないマーケットを攻略するのは非常に難しい。本件でも、中国のプレミアム市場と、アメリカのスタンダード市場のどちらに経営のリソースを割くか、CEOは非常に難しい選択を迫られていた。

自分とインド人の同級生は、過去に仕事でLED市場の調査やコンサルティングをしたことがあったので、当社のCEOと深い議論ができ、非常に楽しい滞在となった。

卒業まであと7日!!!

P.S. 週末に旅行した兵馬俑と西安



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2015年5月28日木曜日

エボラ出血熱やUberを因果関係から分析する

今学期とった授業の1つに、システムダイナミクスというMIT Sloanの看板授業がある。システムダイナミクスは、MITのジェイ・フォスター教授によって提唱された学問で、ビジネスに限らず、制御理論や機械工学など様々な分野に応用されている。

簡単に言うと、1)世の中の事象の背後にある因果関係を特定して図式(ループ)で表現し、2)時間軸やループの強さ(因果関係の重み付け)などを要素に加えて、ソフトウェアによる数値シミュレーションを行うことで、将来の予測、取りうる手段の特定、リスクの回避などのアクションにつなげる学問である。


この因果関係には、増幅を促す正のサイクルの"Reinforce loop"(例:人口が増える→消費が増える→企業の収益が増える→人々の生活が豊かになり、子供が多く産まれる→人口が増える)と、ブレーキをかける負のサイクルの"Balance loop"(例:人口が増える→環境破壊が加速する→人間が住めるエリアが減る→人口が減る)の2つのフィードバックループが存在する。

多くのフィードバックループに、事象のストック量、ループの強さ、時間軸の影響などの数値的要素を加えて、シュミレーションを行うと、様々な結果を得ることができる。このパラメーター群を最適化することで、自社にとっての最適な戦略を検証し、意思決定に役立てる。


実際の授業では、エボラ出血熱の発生メカニズムやUberの成長モデルなど、最新の企業や事象を取り扱い、システムダイナミクスを考察するので、非常に面白い。

上記は、やや抽象的な説明でわかりづらいと思うので、下記のとおり、シェアリングエコノミーでも扱ったUberのケースを用いて、システムダイナミクスの導入編を紹介したいと思う。下記のモデル図を見ると、5個ずつのReinforce loop(R1-R5)とBalance loop(B1-B5)が存在する。






【Reinforce loop】
  • R1)ユーザーの数が増える→収入が増える→広告やプロモーションを増やす→ユーザーの数が増える
  • R2)ユーザーの数が増える→ドライバーの数が増える→ユーザーの数が増える(ネットワーク効果)
  • R3)ユーザーの数が増える→レーティングが正確になり、ドライバーが淘汰される→顧客満足度が上がる→ユーザーの数が増える
  • R4)ユーザーの数が増える→収入が増える→投資が増える→都市のカバレッジが増える→ユーザーの数が増える
  • R5)ピックアップ時間が短くなる→顧客満足度が上がる→ユーザーの数が増える→ドライバーの数が増える→カバレッジが増える→ピックアップ時間が短くなる
【Balance loop】
  • B1)ドライバーの数が増える→エリアのカバレッジが増える→ドライバーの待ち時間が増える→ドライバーの利益が減るドライバーの数が減る
  • B2)ドライバーの利益が増える→競争が増える→ドライバーの利益が減る
  • B3)ドライバーの数が増える→タクシー業界等からの圧力が増え、規制が強くなる→ドライバーの数が減る
  • B4)ドライバーの利益が増える→ドライバーの数が増える→各ドライバーの利益が減る
  • B5)ユーザーの数が増える→収入が増える→法人税が増える→政府が公共交通機関に投資する→ユーザーの数が減る

この図式モデルからわかるのは、様々な要素とその因果関係が絡み合い、Uberのビジネスが動いているということだ。最終的には、(R2のループ)ユーザーが増える→ドライバーが増える→ユーザーが増えるというネットワーク効果を最大にするために、どのように、ユーザーとドライバーを増やしていくか、そのための仕組みをどう構築していくかという視点で整理すると、会社が取るべき戦略も考えやすくなる。

卒業まであと8日!!!

P.S. 南フランスの風景(要塞都市カルカソンヌ/ボルドーのワイン畑)




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2015年5月27日水曜日

MBAでの苦労/前後で感じるギャップ

キャンパスビジットをされる方から、"MBAに来る前と来た後で感じるギャップは何か?"という質問をよく受ける。MITに対する期待値は高く、多様な機会に恵まれたおかげで、総じて満足しているのだが、細かいことをいうと、自分の力不足も含めて、ギャップやストレスを感じることもある。MBAでは"Get out of comfort zone"とよくいわれるが、あえて常にストレスのかかる状況に身を置き、これに慣れていくことも1つの成長といえる。自分も最初の学期は、初めての経験が多く、慣れるのに非常に時間がかかった。

以下は、自分がMBAで感じた教訓/ストレス/ギャップを紹介したいと思う。

<学校編>
1.日本人以外は限りなく、英語がネイティブに近いと覚悟せよ
MBAに来る学生の英語力はとてつもなく高い。日本人は、英語力を高めることも重要な目的の1つとして来ているが、他国の留学生はネイティブに限りなく近いと考えた方がよい。最初の学期のスタディーグループは、アメリカ人4人、ブラジル人、ケニア人と自分という構成だったが、ブラジル人とケニア人もほぼ英語がネイティブだったので、議論についていくのに本当に苦労した。自分の場合、誰かの発言を脳みそで理解している間に、他の人が話を始めるので、段々話についていけなくなり、それが原因で、これから自分が話そうとする内容はもう誰かがしゃべっているかもしれないと感じ、会話に参加するハードルがより高くなる。気にせずに思ったことを発言すればいいのだが、最初はその勇気もなかなか出ない。

MIT SloanのClass of 2016の統計を見ると、International Studentsの割合が42%となっている。だがその大半は、帰国子女、英語圏の大学・大学院を卒業、英語が標準語の仕事環境を経験してきている。従って、海外経験が少ない日本人の学生は、最初に英語で挫折に近いものを経験することになる。ここは避けて通れない道というか、これを乗り越えるために留学しているのだが、やはり覚悟が必要だ。英語環境にいること自体が、Get out of comfort zoneなので、この"精神と時の部屋"で修行することによって、徐々に耐性がついてくる。

2.日本のプレゼンスは限りなく低いと思え
アメリカのビジネススクールで感じるのは、日本のプレゼンスが限りなく低いことだ。Japan Passingは現実のものであると痛感する。オペレーションなど一部の授業では、日本のケースも出てくるが、同級生の発言を聞いていると、ビジネスにおける日本への関心は低い。例えば、ある製薬メーカーのケースで、アメリカ国外で最大の市場は?という質問に対して、学生から色々な国名が上がるが、正解である日本と答える人はいない。

”日本を宣伝するためにおまえらがMBAに行ってるんだろ” といわれると、確かにそのとおりだが、自分としては、世界第3位のGDPを誇り、かつてはJapan as No.1と言われた国が、世界からの注目度が極めて低いことについてある意味ショックを受けた。あと、日本は、国内プレーヤーが強く、言葉の壁があり、エントリーしづらい特殊なマーケットという認識がアメリカ人の意識にもあると思う。MITでは、China/India Labというアクションラーニングがあることもあり、これらの国は注目度が高い。

3.アメリカ人のための学校であることを覚悟せよ
授業の大半のケーススタディは、アメリカの企業を題材として取り扱っている。もちろん、世界をリードする様々なアメリカ企業から学ぶ姿勢は大事だし、非常によいことだと思うのだが、もう少し、アメリカ以外の企業に関するケースとバランスがとれているとよいと思う。アメリカ人は、基本的にアメリカが何でも世界一だと思っていて、外国への関心が低い学生も多いので、どうしてもそうなってしまうのかもしれない(笑)。

また、アメリカ国外における就職のサポートも極めて限定的だ。自分も、アジアでのインターンを探す時は、自力でリサーチを行い、コンタクトをとった。

4.カオスに慣れよ
グループワークでは、日本のように、誰かが話している間、皆が大人しく聞くという文化は存在しない。皆が自分の意見を言いあい、中には人の話を聞かないで自分の意見を通そうとする人もいる。一旦誰かの意見に賛同する人が現れると、見落としているポイントがあっても、どんどん話が進んでいってしまうこともある。議論をリードするには英語力的に不安があり、こうしたカオスな状況に慣れるのは時間がかかったが、これまでに述べてきた通り、リーダーシップのスタイルチームワークでの貢献には様々なやり方があるので、その時々に応じたベストな道を探していくしかない。

5.時間の感覚を修正せよ
ミーティングでの遅刻や、チーム内の課題の締切を設定してもそれ通りに成果物が出てこないことは日常茶飯事。ラテン系と食事をする場合は、ラテンタイムといって、開始時間の30分後に会場に行っても誰もいないことがほとんどだ。日本の5分前行動カルチャーに慣れた人間だと、最初はイライラするが、郷に入れば郷に従えで、これは慣れていくしかない。その一方、課題の最終締切には間に合わせてくるので、本気になればできるのだと思う(笑)。

<遊び編>
1.パーティーへの対応を考えよ
欧米・ラテン系は、夜になると、どこかのバーで軽く飲んで、その後2次会的なノリで、クラブに行く。最初は、友達をつくろうと思ってクラブに行っていたが、うるさくて英語が聞き取れないし、基本踊りに行く場所なので、深い話もできないので、段々足が遠のく。アジア人で最後まで行ってる人は非常に少なかったと思う。カルチャーの違いもあるのだと思う。ただ行かなくても特に困ることはないので、気にする必要はない。日本人はホームパーティーなどを開き、少人数でじっくり話しながら、友人と仲良くなっているケースが多いと思う。

2.すべての人と仲良くなる必要はない
日本人は誰にでも愛想よく振る舞う傾向があると思うが、アメリカ人にはそういう感覚はない。どこのMBAの学生に聞いても、一定の割合のアメリカ人は、アメリカ人だけでつるもうとしていて、インターナショナルの学生に興味を示さない。これは日本で、一定数の日本人が外人とつるもうとしないのと同じかもしれない。

自分が、マイノリティーのグループに分類されることが初めてだったので、最初は面を食らった部分もあるが、慣れていくしかない。とは言っても、非常に親切で協力的なアメリカ人もたくさんいるので、基本的には心配する必要はない。すべての人と仲良くなろうとするのは難しいといっているだけである。

3.金銭感覚には留意せよ
MBA生はバックグランドがバラバラで、多くの人が借金を背負って来ている。家がお金持ちだったり、投資銀行出身とかだと、羽振りがいいが、ギリギリに切り詰めて生活をしている人たちもいる。以前、クラスメートが日本食を食べたいというので、食事会を企画したのだが、ある学生から"自分は$20以上の食事はできない"と個別にメールが来て、レストランを変更せざるを得なかったことがある。こうした調整は労力を伴うが、非常に大事なことなので、皆が楽しめるよう、様々な配慮を忘れないようにしたい。余談になるが、アメリカでは、食事会でも、常にベジタリアンメニューを用意するなど、多様な食文化に関する配慮を忘れてはならない。

以上が、自分がMBAで感じた苦労/前後で感じるギャップだ。

卒業まであと9日!!!

P.S. ドイツのノイシュヴァンシュタイン城/ケルン大聖堂



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2015年5月26日火曜日

NPOに対する組織コンサルティング

1年生の必修であるOrganizational Process(組織プロセス)の授業の最終プロジェクトで、ボストンの企業に対して、組織コンサルティングを行った。

実際のプロジェクトの内容について、クライアントを非営利団体(NPO)
のX社のA部門として紹介したい。


A部門のヘッドから課題として提示されたのは、"マーケティング力が弱いため、クライアントが減っている。それにあわせてアメリカ政府からのファンディング額が減っている"というマーケティング上の課題であった。

新しいパンフレットをつくるとか、Facebookでのキャンペーンのために予算をつけるとか、どのようなマーケティング戦略をとるべきかという方法論に飛びつくのではなく、根本的な課題/要因は何なのかを見極めることからスタートした。

今回は組織プロセスの授業だったので、意図的に焦点をそこにあわせているが、実際のビジネスでも、事業がうまくいかない時に、営業/マーケティングのやり方が悪いという単純なものではなく、組織がうまく機能していないことが原因であるケースが多い。

我々のチームは、X社のA部門、他部門、クライアントに対して、総勢17回のインタビューを行い、以下の3つの課題を特定/整理すると共に、それぞれの課題について、解決策の提案を行った。

【提案①】A部門のミッションをX社のミッションと一致させ、統合する
 - Align and Integrate the mission of A department with X company
【課題①】X社の他部門はA部門が何をしているかわからない。A部門のやっていることがX社の方向性/ミッションとどう合致しているのかがわからない
【解決策①】A部門のミッション・ステートメントを作成する。クライアントへのアンケート調査にX部門の事業に関連した質問を組み込む。A部門の提供するサービスのリストを作成し、X社のクライアントに通知する。

【提案②】A部門の中で、コア・バリューを共有し、団結したチームをつくる
- Build a cohesive team based on core values
【課題②】A部門はプロジェクトベースで動いており、モチベーションの維持は個々の熱意に委ねられている。A部門には組織文化がない。A部門では人間関係を深める機会がほとんどない
【解決策②】DropboxやGoogle Documentを使い、資料や情報をシェアできる仕組みを構築する。A部門の営業以外のメンバーも現場(クライアント)を訪問するなど、グループでの活動を設ける。個人やチームの成果を表彰し、シェアする文化をつくる

【提案③】社内・社外との継続的かつ円滑なコミュニケーションを実現する 
- Communicate consistently to internal and external audience
【課題③】A部門の情報がX社全体に行き届いていない。X社の他部門はA部門が何をしているか知らない。A部門と他部門はばらばらにマーケティングを行っている。
【解決策③】ニュースレターを発行し、A部門の実績と今後のプロジェクトをX社全体にシェアする。X社のPR(Public Relations)部門と定期的なミーティングを持ち、共同で情報発信を行う。X社のクライアントに対して、A部門の事業内容を宣伝し、ブランド力を高める


以上が我々が行った提案の概要である。組織プロセスは普遍的な理論/正解があるわけではなく、組織毎のカスタマイズが必要になるので、アプローチの再現性が低い印象を持ちがちだ。しかし、自分としては、根本的な課題(イシュー)が何なのかを徹底的に突き詰め、組織プロセスから課題にアプローチする有効性を実体験できた点がよかったと思う。結果として、我々の提案は、A部門のチームの中で発想として出てこなかった点が多く、非常に満足してもらうことができた。

卒業まであと10日!!!

P.S. ハンガリーのブダペスト



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2015年5月25日月曜日

Airbnbはホテル業界を脅かす存在になるのか!?

以前述べたとおり、シェアリングエコノミーの代表サービスであるAirbnbとそれに対抗する既存プレーヤーの動向を、マリオットを例に、箇条書き形式で紹介したいと思う。Advanced Strategic Managementという授業の中で、AirbnbとMarriottの2チームに分かれ、自分はAirbnbの分析を担当した。

Airbnbとは(数値は2014年12月調査時のもので古くなっている可能性あり

  • 2008年にBrian Cheskyらによって設立され、物件オーナーと旅行者をつなぐ宿泊予約のオンラインプラットフォームを提供
  • 世界190カ国3万4000の都市で展開し、80万の物件と、年間3,000万件の取引あり
  • 2013年で$2.5億ドルの収益があり、NabeWiseなど複数の企業を買収
  • 物件のオーナーから3%の取引手数料、宿泊客から6−12%のサービス料を請求
  • 8.26億ドルを資金調達し、バリエーションは100億ドル。2015年2月時点では、新たに10億ドルを調達し、バリエーションが200億ドルになったとの報道も
  • 競合は、HomeAway、FlipKey、Wimduなど
  • 比較的低価格帯のホテルを利用する顧客層がターゲット。ビジネスユースのサービスも提供開始
  • 最初の2年弱は鳴かず飛ばずだったが、ニューヨークの物件の写真を、Airbnbの運営チームが自分たちで撮影したことをきっかけに、1週間で$400を売上を達成。急速に成長開始<(参考)Airbnbが成功するまでの変遷

Airbnbの強みとは
  • 無限に広がる在庫(世界中のアパート物件が商品に)。ホストと旅行者の間の強力なネットワーク効果
  • 急成長するオルタネイティブロッジング市場(Alternative Lodging Market): 2014年に260億ドルの市場規模(宿泊市場の7%)に達する見込
  • 低い間接費:Airbnbの従業員は600人。従業員1人あたり売上高$420,000(2013年)
  • レビューやレーティングをベースに部屋を探すニーズへの対応
  • ホテルサービスの解体:ホテルの総合サービス(ブランド、デザイン、アメニティ、清掃、セキュリティ、食事、コンシェルジェ、リワードプログラム)を解体し、自分の好きなものを組み合わせるニーズに対応
  • 新しいエコシステムの形成:Airbnbのプラットフォーム上で、様々なベンダーがサービスを提供(物件オーナーのための予約受付、清掃、鍵の引き渡しサービスなど)

マリオット(既存プレーヤー)の反応
  • マリオットは、Airbnbに対抗して、アパートにおける短期の滞在サービスの予約プラットフォームを提供開始
  • 既存のアパートのオーナー、テナントと提携し、マリオットの予約システム上でこれらの物件の予約が可能に。背景には、多くの物件オーナーが短期レンタルを禁止する方向性を示しているため、Airbnbのテナントが法的リスクを抱えるようになり、マリオットは、それを回避する形でサービスを提供
  • Airbnbとの違いは、
    1. クオリティをマリオットが保証(ブランド管理のリスクは上昇)
    2. オーナー、テナント、マリオットの3者で利益をシェア(オーナーも含めて利益をシェアするため、Airbnbに比べ、マリオットの取り分は低下)
    3. マリオットグループのリワードプログラムを提供(Airbnbも同様のサービスを提供可能。強いインセンティブにはならない可能性大)

以上を踏まえると、多少の違いはあるものの、マリオットもAirbnbに同調する戦略をとっており、Airbnbを中心とするオルタネイティブロッジングが大きな脅威になっていることがわかる。マリオットは、既存のホテルビジネスとのカニバリゼーション(共食い)があり、オンライン予約プラットフォームとしてはAirbnbにブランド面で大きく離されていることから、劣勢にたたされているといわざるを得ない。

デジタルカメラの出現で破産したコダックのように、いつの時代にも新規の製品/サービスの出現によって、既存プレーヤーの存在が脅かされる例は枚挙にいとまがない。2010年代は、タクシー業界に対するUber、ホテル業界に対するAirbnbのように、シェアリングエコノミーといわれる新しいトレンド/エコシステムをリードする企業が、大きな脅威になっている。

卒業まであと11日!!!


P.S. ボリビア・ウユニ塩湖の鏡張り





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2015年5月24日日曜日

チームに貢献する9つの方法:あなたはチームにどう貢献する?

Belbin team-role inventoryというチームに必要な9つの役割を定義したものがある。下記に示すこの9つの役割には、それぞれ強みと弱みがあり、これらの役割をバランスよくもつチームが、パフォーマンスを最大化できるというものだ。

Plant: 創造性に長けており、難しい問題を解決できる一方、それに付随して起きる影響を無視する傾向にある
Resource Investigator: 社交的かつ熱狂的で、新しい人脈を築き、新しい機会をつくりだすことができる一方、過度に楽観的で、あきっぽい。
Co-ordinator: マチュアで自信家。ゴールを明確化し、決断を促進するリーダー的存在。人へ仕事を振る(移譲)のがうまい一方、他人には押し付けていると思われやすい。
Shaper: 大胆で、プレッシャーへの耐性が強く、障害を乗り越えるための大きな力となる。一方やや挑発的で、他人の気分を害することもある。
Monitor/Evaluator: 冷静で思慮に長けた戦略家であり、様々なオプションを見た中で、よいものを判断できる。一方、他人を動かす力に欠ける傾向がある。
Team worker: 穏やかで協力的。他人をたて、摩擦を避けようとする。自身で意思決定するのが苦手。
Implementer: 保守的で効率的。信頼でき、アイデアを実際のアクションに変えることができる。やや柔軟性にかけ、新しい機会への反応が遅いことがある
Completer/Finisher: 完璧主義者。抜けや漏れがないかをチェックし、期限にも正確。自分ですべてやってしまいがちで、過度に心配症な傾向がある。
Specialist: 1つの事にひたむきで、突出した技術とスキルを持っている一方、貢献する範囲は狭い傾向がある。

自分がとったデザインシンキングの授業では、まずはじめに、Belbin team-role inventoryの診断テストを受け、上記の9つの中から自分の傾向を把握する。そして、自分の特長を意識して、チームに貢献するよう求められた。

私は、Implementerの数値が一番高く、次いでTeam worker、Co-ordinator、Shaperという順になった。国籍や職歴もばらばらだったが、7人のチームのうち、3人が非常に強いImplementerだったのが面白かった。若いとそういう傾向がでるのだろうか。今回は図書館の改善案を提案するところ止まりだったので、Implementerの役割はやや限定的だったように感じるが、意識的にImplementerになろうとするとなかなか難しい。



話は変わるが、先日、ラテン系を中心とするMIT Sloan生が "今後のInternational Studentsにとって、MIT Sloanをさらによくしていくための改善点をまとめたので、明日Deanに提出する。賛同する人は教えてほしい"という提案をした。

自分的にはやや唐突感があったのだが、案の定、別の学生(コンサルタント出身)が、以下のように反応した。
"この提案だと不満点を述べているのみで、建設的な改善案が書かれていない。従って、やや攻撃的に感じる。また学校自体も様々な施策に取り組んでいるので、それと連携した方がよい。アイデアは非常に素晴らしいので、ベストなアプローチを皆で議論すべきだ"

この反応1つとってみても上記に当てはめると、Plant、Resource Investigator、Shaperが強いラテン系のメンバーに対して、他の学生が、Monitor/Evaluator、Team worker、Implementerの観点から反応したのではないかと思う。

最終的に、"Deanは非常にフレンドリーでオープンなので、分析するだけで行動を起こさないよりは、我々の考えを率直に伝えるべきだ"ということで、Deanとのミーティングが実施された。本件では、Shaperの突破力がMonitor/Evaluatorを上回ったのだと思う。

自分がプロジェクトを統括する立場になった場合に、自分の特徴を踏まえて、誰を勧誘してどういうチームをつくっていくか、自分のチームの強み・弱みは何なのか、をチェックするツールとしては面白いと思う。

卒業まであと12日!!!

P.S. フランス・ロワール地方の古城群




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