2015年5月31日日曜日

レジュメとカバーレターの書き方

アメリカでの就職活動では、レジュメとカバーレターを要求されるケースが多い。ビジネススクールでも、1年生の1学期が始まると、就職課がレジュメの相互レビューセッションを開いたり、コミュニケーションの授業でカバーレターの効果的な書き方を教えてくれる。

レジュメとは、日本語でいう履歴書と職務経歴書をあわせて1枚の紙にまとめたようなものだ。MBAの受験プロセスでも、レジュメはエッセイを書き始める前に作成する最初の書類である。自分のスキルセットの棚卸しをしながら、ブラッシュアップしていく。カバーレターは、日本語でいう志望動機書のようなもので、"わたしはこういうスキルを持っているので、御社にとってベストな人材です"とアピールするためのものだ。

レジュメについて
以下、レジュメを作成の際の要点を箇条書きする。アメリカでの受験や就職において、レジュメは最も大事な書類なので、"どういう能力がある人物なのか"、Resumeを見るだけで浮かび上がってくるようになるレベルを目指す。Resumeは、多くの人材会社が紹介しているのでそれを参照したり、LinkedInで他人のプロフィールを見て参考にするとよい。
  • A4で1枚におさめる
  • フォントは、Times New Romanの10ptがよい
  • 雇用主と学校名はすべて大文字で記載
  • 職歴、学歴、その他に分けて記載。学校に所属していたら、学歴>職歴>その他の順。会社に所属していたら、職歴>学歴>その他の順
  • 学校や会社でのタイトル(Candidate for MBA, June 2015 / Vice President)、所属期間(例: 2008-2012 / 2013-Present / Summer 2014)、場所(Cambridge, MA / Tokyo, Japan)を記載
  • 読み手が所属している会社を知らなそうであれば、会社の事業内容を簡潔に記載
  • 過去の実績について箇条書きで書く。ただの職務歴の箇条書きにならないよう注意する。主語はいらない。
  • アクション動詞を使うと共に、同じ動詞を繰り返し使わないよう留意。アクション動詞はこちらのリストを参考にする。ちなみにこの動詞を覚えておくと、一般的な英語のライティングでも非常に有用
  • 実績には可能な限り数字をいれる。ZeroからTenまでは数字ではなく、言葉で書く(例: 7ではなくseven)
  • 賞や表彰などがあれば、必ず書くようにする(Semi-fainalistとかでもOK)
  • その他については、語学スキル、コンピュータスキルを記載。インタビューでのネタづくりにもなるので、趣味/特技などの記載も効果的。こちらで述べた通り、Visaは大きな問題になるケースがあるので、例えば、U.S. Permanent Residencyなど、就職の際に優位に働く情報がある場合はそちらも記載。
  • (上級編)複数の業界をまたがった仕事をしてきた場合には、各会社でのタイトル毎に記載するのではなく、スキルセット毎にまとめて書くと効果的な場合がある

カバーレターについて
  • まず、出願先のJob Description(職務記述書)を読み、求められる能力/人物像を把握する
  • 会社のリサーチを会社のウェブサイト、ニュース、アナリストレポート等を使って行い、会社の人に会って実際に話を聞く。当たり前に聞こえるが、良いカバーレターを書くためには重要なプロセス
  • 実際に会社の人と話したことがないと、志望度についても疑念を持たれる可能性がある。現職の従業員と話をした場合には、カバーレターで言及しても良い
  • 自分がどのように会社に貢献できるか、自分がハイライトしたいスキルセットと説得力のストーリー(過去の経験)を記載する。この会社に入ることが自分のキャリアにどう役立つかという記載がメインにならないようにする
  • ストーリーを簡潔に書く点がレジュメと異なる。カバーレターはレジュメにリンクしているので、このスキルや経験がレジュメにも書かれている必要がある。言い換えれば、カバーレターは、レジュメの経験の中からハイライトしたいものをもう少し具体的に書く位置づけになる
  • カバーレターはフォーマットがあるので、それに従う。日付、自分の名前、住所に続いて、出願先のコンタクトの名前、肩書き、部署、出願先の会社の名前、住所の順番で書く。
  • 以下は、文章の構成
    1. 最初のパラグラフは、自分が出願しているポジションとその理由を記載する
    2. メインのパートでは、会社が求めるかつ自分が強みとするスキルを3−4個取上げ、出願先の事業目的にこれらのスキルがどう貢献するか、ストーリーと共に記載する
    3. 最後の段落では、自分がその会社とポジションに興味があることを再度強調して、結びとする
      <コンサルティング>
    • Conceptual problem solving/analytical/quantitative skill
    • Persuasive communication skills and ability to influence change
    • Client relationship skills
    • Intellectual curiosity and ability to learn quickly
    • Adaptable to diverse working environment
    • Project management/prioritization

      <投資銀行>
    • Analytical/quantitative skills
    • Passion for deal-making & financial markets
    • Client relationship skills
      Strategic communication and negotiation skills
    • Resourcefulness
    • Ability to thrive under high pressure
    • Stamina, perseverance

以上が、MBA受験や就職活動で重要となるレジュメ/カバーレターの紹介だ。

卒業まであと5日!!!

P.S. シンガポールのマリーナベイサンズとマーライオン


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2015年5月30日土曜日

自己啓発的な卒業式スピーチ5選


今年の3月の卒業式は、東大の教養学部の式辞や、近畿大でのホリエモンの”未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きよ”というスピーチが話題を呼んだ。自分も大学院の卒業式まで1週間を切った。今年のMITの卒業式スピーチ(Commencement Address)は、アメリカ政府の最高技術責任者(CTO)でグーグル元幹部のメガン・スミス氏だ。

テレビはあまり見ないのだが、時間があるときに、大学の卒業式スピーチの動画は結構見たりしている。さすが卒業生へのはなむけの言葉だけあり、ユーモアあり、感動ありで、非常に面白いスピーチが多い。

そこで、今日は、自分が特に感銘を受けた5つの米国の卒業式スピーチから、印象に残った言葉を引用したいと思う。

1. スティーブ・ジョブズ、アップル創業者兼前CEO、2005年スタンフォード大学
"Stay Hungry. Stay Foolish."という名言を残したスティーブ・ジョブズの伝説のスピーチ。10回以上は見たと思う。人生の点が将来、線になることを信じて、今を生きよ(Connecting Dots)、喪失感/失敗を経験しても自分の好きなことをやり通せ/見つけるための努力を続けろ(Love and loss)、人生はいつ何がおこるかわからないので、他人に惑わされず自分の人生を生きよ(Death)という3つのメッセージ。彼の人生観を裏付けるストーリーが、感動を呼ぶ。

"Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This approach has never let me down, and it has made all the difference in my life."

"I'm pretty sure none of this would have happened if I hadn't been fired from Apple. It was awful tasting medicine, but I guess the patient needed it. Sometimes life hits you in the head with a brick. Don't lose faith. I'm convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle."

"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma — which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary."



2. ドリュー・ヒューストン、ドロップボックスCEO、マサチューセッツ工科大学2013年
MIT卒業生で、オンラインストレージを提供するドロップボックスCEOの卒業式スピーチ。"あなたは、自分のまわりにいる5人の平均なので、尊敬する人を自分のサークルにいれよう"、"人生は30,000日しかない。自分の人生をパーフェクトにするのではなく、面白いものにしよう"というメッセージ。雨の卒業式が独特の雰囲気を作り出す。

"They say that you're the average of the 5 people you spend the most time with. Think about that for a minute: who would be in your circle of 5? I have some good news: MIT is one of the best places in the world to start building that circle. If I hadn't come here, I wouldn't have met Adam, I wouldn't have met my amazing cofounder, Arash, and there would be no Dropbox."

"Meeting my heroes and learning from them gave me a huge advantage. Your heroes are part of your circle too — follow them. If the real action is happening somewhere else, move."

"So that’s how 30,000 ended up on the cheat sheet. That night, I realized there are no warmups, no practice rounds, no reset buttons. Every day we're writing a few more words of a story. And when you die, it's not like "here lies Drew, he came in 174th place." So from then on, I stopped trying to make my life perfect, and instead tried to make it interesting. I wanted my story to be an adventure — and that's made all the difference. "



3. ビル/メリンダ・ゲイツ、ビル&メリンダ財団共同代表、スタンフォード大学2014年
ご存知の通り、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツと奥さんのメリンダ。2人で卒業式のスピーチをするのは非常に珍しいのでインパクトがある。貧困を統計でしか見たことがなかったビル・ゲイツが、貧困の現場を訪れてショックを受けたことを例に出し、1)楽観主義からうまれるイノベーションと、2)苦しんでいる人々への真の共感と慈悲精神の2つが、世界を変えるためには必要だ、と説く。

"Even in dire situations, optimism can fuel innovation and lead to new tools to eliminate suffering. But if you never really see the people who are suffering, your optimism can't help them. You will never change their world," 

"tears down barriers and opens up new frontiers for optimism."



4. J.K. ローリング、ハリーポッター著者、2008年ハーバード大学
"人間は、より良い世界を想像する力を持っているので、苦しむ人々のためにその力を使い、声をあげれば、世界を変える大きな力になる"と訴える。想像力の欠乏への警告と共に、はばたくエリートたちが将来もつであろう影響力は、"特権でもあり、責任でもある"と鼓舞した。なお、J.K.ローリングはこのスピーチと同時に、ハーバード大学から名誉博士号が送られている。

"If you choose to use your status and influence to raise your voice on behalf of those who have no voice; if you choose to identify not only with the powerful, but with the powerless; if you retain the ability to imagine yourself into the lives of those who do not have your advantages, then it will not only be your proud families who celebrate your existence, but thousands and millions of people whose reality you have helped change. We do not need magic to change the world, we carry all the power we need inside ourselves already: we have the power to imagine better."



5.モハメド・ユヌス、グラミン銀行創設者、マサチューセッツ工科大学2008年
マイクロ・クレジットを世界に広めたノーベル平和賞受賞者のモハメド・ユヌスのスピーチ。"人間は多面的な視点を持っている。人間がビジネスから得られる幸せは、利益の最大化だけではなく、社会的意義の達成にもあるはずだ"、"貧困は、資本主義の仕組みにより、人々に降りかかったものであり、仕組みを変えるのは難しい"、"だからこそ誰にでもアクセスできるITやヘルスケアサービスを提供すると共に、ソーシャルビジネスを市場原理に組み込むことが重要だ"、と訴える。

今度訪問する予定のバングラデッシュでは、多くの企業がグラミングループと提携している。その哲学が企業の中でどのように生きているかを感じてきたい。

"I know maximization of profit makes people happy. I don't maximize profit, but my businesses are a great source of my happiness. If you had done what I have done you would be very happy too! I am convinced that profit maximization is not the only source of happiness in business. 'Business' has been interpreted too narrowly in the existing framework of capitalism. This interpretation is based on the assumption that a human being is a single dimensional being. "

"Poverty is not created by the poor. It is created by the system. Poverty is an artificial imposition on people. Once you fall outside the system, it works against you. It makes it very difficult to return to the system."

"We can easily reformulate the concept of a businessman to bring him closer to a real human being. In order to take into account the multi-dimensionality of real human being we may assume that there are two distinct sources of happiness in the business world æ 1) maximizing profit, and 2) achieving some pre-defined social objective. "

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結構な数の卒業式(Commencement)のスピーチを見ると、メッセージはどれも似通ってることが多い。それでも感動するのは、彼らの圧倒的な実績とそれを生み出すきっかけになった人生のストーリーが言葉に重みと感動を作り出すからだ。

卒業まであと6日!!!

P.S. 米国のホースシューベンド/ザイオン国立公園



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2015年5月29日金曜日

中国企業の海外戦略における苦悩

China Labという中国企業にコンサルティングをする授業で、中国の北京に2週間滞在した。この授業は、中国の学生とチームを組むのが特徴で、MIT Sloan MBA2人(インド人と自分)と清華大学の中国人MBA2人でチームを組んだ。

我々のクライアントは、大学発の特許を有する高性能LED電球をつくるスタートアップで、アメリカへの海外展開に関する調査の依頼があった。中国でもまだほとんど売上がない状態だったが、コスト面が重視される中国市場より、高性能商品が求められる先進国市場を攻めたいという理由で、海外進出を優先している。

社長が、アメリカにコネのあるブローカーとアメリカの大手量販店との取引を進めており、アメリカ進出の価格戦略を策定するというものだ。こちらでも紹介したが、バリューベース、マーケットベース、コストベースでの価格算定を行ったうえ、最終的に、プレミアム市場(高価格)ではなく、スタンダード市場(中価格)への進出をアドバイスした。

照明の色の質が重視されるプレミアム市場では、当社製品の最大の特徴である”長寿命”が差別化要因にならないことに加え、フィリップスやGEなど著名な照明メーカーが競合としてひしめく中で、無名の中国メーカーがシェアを拡大していくのは非現実的であった

一方、スタンダード市場は市場規模が大きく、"長寿命"などの特徴が重視されるので、他社より安い価格を設定できれば、価格面と性能面で競争力のある製品として、無名のブランドでもシェアを拡大できるのではないか、という仮説だ。

しかし、現状では、スタンダード市場に進出するにも、当社のコスト構造の高さがネックになっている。アメリカで製品を販売する場合、スタートアップ経営者が絶対押さえておくべき数字集でも述べた通り、輸送費(中国から米国への海上輸送と米国内での国内輸送)、関税、そして約30%の量販店に対するマージンがかかるので、コストベースで積み上げていくと、製造コストの約2.5倍が最終販売価格の損益分岐点になる。

LEDはコモディティ化が進んでおり、ブランド力を持つ欧米メーカーの高性能品でもかなり安売りされている。従って、現状のスタンダード市場に進出した場合、我々の試算では、当社の利益がほぼゼロか、若干赤字になってしまう可能性があった。そこで、量産化によるコストダウンに加え、実際に工場を見学し、生産ラインの課題の指摘や自動化の提案などを行い、コスト競争力のある製品をつくるための土台づくりが重要である点を強調した。

MBAの授業では、様々な企業のCEOから海外進出の話を聞くことが多いが、一部の成功企業の裏で、多くの企業が失敗している。ネットワークを持たず、土地勘のないマーケットを攻略するのは非常に難しい。本件でも、中国のプレミアム市場と、アメリカのスタンダード市場のどちらに経営のリソースを割くか、CEOは非常に難しい選択を迫られていた。

自分とインド人の同級生は、過去に仕事でLED市場の調査やコンサルティングをしたことがあったので、当社のCEOと深い議論ができ、非常に楽しい滞在となった。

卒業まであと7日!!!

P.S. 週末に旅行した兵馬俑と西安



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2015年5月28日木曜日

エボラ出血熱やUberを因果関係から分析する

今学期とった授業の1つに、システムダイナミクスというMIT Sloanの看板授業がある。システムダイナミクスは、MITのジェイ・フォスター教授によって提唱された学問で、ビジネスに限らず、制御理論や機械工学など様々な分野に応用されている。

簡単に言うと、1)世の中の事象の背後にある因果関係を特定して図式(ループ)で表現し、2)時間軸やループの強さ(因果関係の重み付け)などを要素に加えて、ソフトウェアによる数値シミュレーションを行うことで、将来の予測、取りうる手段の特定、リスクの回避などのアクションにつなげる学問である。


この因果関係には、増幅を促す正のサイクルの"Reinforce loop"(例:人口が増える→消費が増える→企業の収益が増える→人々の生活が豊かになり、子供が多く産まれる→人口が増える)と、ブレーキをかける負のサイクルの"Balance loop"(例:人口が増える→環境破壊が加速する→人間が住めるエリアが減る→人口が減る)の2つのフィードバックループが存在する。

多くのフィードバックループに、事象のストック量、ループの強さ、時間軸の影響などの数値的要素を加えて、シュミレーションを行うと、様々な結果を得ることができる。このパラメーター群を最適化することで、自社にとっての最適な戦略を検証し、意思決定に役立てる。


実際の授業では、エボラ出血熱の発生メカニズムやUberの成長モデルなど、最新の企業や事象を取り扱い、システムダイナミクスを考察するので、非常に面白い。

上記は、やや抽象的な説明でわかりづらいと思うので、下記のとおり、シェアリングエコノミーでも扱ったUberのケースを用いて、システムダイナミクスの導入編を紹介したいと思う。下記のモデル図を見ると、5個ずつのReinforce loop(R1-R5)とBalance loop(B1-B5)が存在する。






【Reinforce loop】
  • R1)ユーザーの数が増える→収入が増える→広告やプロモーションを増やす→ユーザーの数が増える
  • R2)ユーザーの数が増える→ドライバーの数が増える→ユーザーの数が増える(ネットワーク効果)
  • R3)ユーザーの数が増える→レーティングが正確になり、ドライバーが淘汰される→顧客満足度が上がる→ユーザーの数が増える
  • R4)ユーザーの数が増える→収入が増える→投資が増える→都市のカバレッジが増える→ユーザーの数が増える
  • R5)ピックアップ時間が短くなる→顧客満足度が上がる→ユーザーの数が増える→ドライバーの数が増える→カバレッジが増える→ピックアップ時間が短くなる
【Balance loop】
  • B1)ドライバーの数が増える→エリアのカバレッジが増える→ドライバーの待ち時間が増える→ドライバーの利益が減るドライバーの数が減る
  • B2)ドライバーの利益が増える→競争が増える→ドライバーの利益が減る
  • B3)ドライバーの数が増える→タクシー業界等からの圧力が増え、規制が強くなる→ドライバーの数が減る
  • B4)ドライバーの利益が増える→ドライバーの数が増える→各ドライバーの利益が減る
  • B5)ユーザーの数が増える→収入が増える→法人税が増える→政府が公共交通機関に投資する→ユーザーの数が減る

この図式モデルからわかるのは、様々な要素とその因果関係が絡み合い、Uberのビジネスが動いているということだ。最終的には、(R2のループ)ユーザーが増える→ドライバーが増える→ユーザーが増えるというネットワーク効果を最大にするために、どのように、ユーザーとドライバーを増やしていくか、そのための仕組みをどう構築していくかという視点で整理すると、会社が取るべき戦略も考えやすくなる。

卒業まであと8日!!!

P.S. 南フランスの風景(要塞都市カルカソンヌ/ボルドーのワイン畑)




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2015年5月27日水曜日

MBAでの苦労/前後で感じるギャップ

キャンパスビジットをされる方から、"MBAに来る前と来た後で感じるギャップは何か?"という質問をよく受ける。MITに対する期待値は高く、多様な機会に恵まれたおかげで、総じて満足しているのだが、細かいことをいうと、自分の力不足も含めて、ギャップやストレスを感じることもある。MBAでは"Get out of comfort zone"とよくいわれるが、あえて常にストレスのかかる状況に身を置き、これに慣れていくことも1つの成長といえる。自分も最初の学期は、初めての経験が多く、慣れるのに非常に時間がかかった。

以下は、自分がMBAで感じた教訓/ストレス/ギャップを紹介したいと思う。

<学校編>
1.日本人以外は限りなく、英語がネイティブに近いと覚悟せよ
MBAに来る学生の英語力はとてつもなく高い。日本人は、英語力を高めることも重要な目的の1つとして来ているが、他国の留学生はネイティブに限りなく近いと考えた方がよい。最初の学期のスタディーグループは、アメリカ人4人、ブラジル人、ケニア人と自分という構成だったが、ブラジル人とケニア人もほぼ英語がネイティブだったので、議論についていくのに本当に苦労した。自分の場合、誰かの発言を脳みそで理解している間に、他の人が話を始めるので、段々話についていけなくなり、それが原因で、これから自分が話そうとする内容はもう誰かがしゃべっているかもしれないと感じ、会話に参加するハードルがより高くなる。気にせずに思ったことを発言すればいいのだが、最初はその勇気もなかなか出ない。

MIT SloanのClass of 2016の統計を見ると、International Studentsの割合が42%となっている。だがその大半は、帰国子女、英語圏の大学・大学院を卒業、英語が標準語の仕事環境を経験してきている。従って、海外経験が少ない日本人の学生は、最初に英語で挫折に近いものを経験することになる。ここは避けて通れない道というか、これを乗り越えるために留学しているのだが、やはり覚悟が必要だ。英語環境にいること自体が、Get out of comfort zoneなので、この"精神と時の部屋"で修行することによって、徐々に耐性がついてくる。

2.日本のプレゼンスは限りなく低いと思え
アメリカのビジネススクールで感じるのは、日本のプレゼンスが限りなく低いことだ。Japan Passingは現実のものであると痛感する。オペレーションなど一部の授業では、日本のケースも出てくるが、同級生の発言を聞いていると、ビジネスにおける日本への関心は低い。例えば、ある製薬メーカーのケースで、アメリカ国外で最大の市場は?という質問に対して、学生から色々な国名が上がるが、正解である日本と答える人はいない。

”日本を宣伝するためにおまえらがMBAに行ってるんだろ” といわれると、確かにそのとおりだが、自分としては、世界第3位のGDPを誇り、かつてはJapan as No.1と言われた国が、世界からの注目度が極めて低いことについてある意味ショックを受けた。あと、日本は、国内プレーヤーが強く、言葉の壁があり、エントリーしづらい特殊なマーケットという認識がアメリカ人の意識にもあると思う。MITでは、China/India Labというアクションラーニングがあることもあり、これらの国は注目度が高い。

3.アメリカ人のための学校であることを覚悟せよ
授業の大半のケーススタディは、アメリカの企業を題材として取り扱っている。もちろん、世界をリードする様々なアメリカ企業から学ぶ姿勢は大事だし、非常によいことだと思うのだが、もう少し、アメリカ以外の企業に関するケースとバランスがとれているとよいと思う。アメリカ人は、基本的にアメリカが何でも世界一だと思っていて、外国への関心が低い学生も多いので、どうしてもそうなってしまうのかもしれない(笑)。

また、アメリカ国外における就職のサポートも極めて限定的だ。自分も、アジアでのインターンを探す時は、自力でリサーチを行い、コンタクトをとった。

4.カオスに慣れよ
グループワークでは、日本のように、誰かが話している間、皆が大人しく聞くという文化は存在しない。皆が自分の意見を言いあい、中には人の話を聞かないで自分の意見を通そうとする人もいる。一旦誰かの意見に賛同する人が現れると、見落としているポイントがあっても、どんどん話が進んでいってしまうこともある。議論をリードするには英語力的に不安があり、こうしたカオスな状況に慣れるのは時間がかかったが、これまでに述べてきた通り、リーダーシップのスタイルチームワークでの貢献には様々なやり方があるので、その時々に応じたベストな道を探していくしかない。

5.時間の感覚を修正せよ
ミーティングでの遅刻や、チーム内の課題の締切を設定してもそれ通りに成果物が出てこないことは日常茶飯事。ラテン系と食事をする場合は、ラテンタイムといって、開始時間の30分後に会場に行っても誰もいないことがほとんどだ。日本の5分前行動カルチャーに慣れた人間だと、最初はイライラするが、郷に入れば郷に従えで、これは慣れていくしかない。その一方、課題の最終締切には間に合わせてくるので、本気になればできるのだと思う(笑)。

<遊び編>
1.パーティーへの対応を考えよ
欧米・ラテン系は、夜になると、どこかのバーで軽く飲んで、その後2次会的なノリで、クラブに行く。最初は、友達をつくろうと思ってクラブに行っていたが、うるさくて英語が聞き取れないし、基本踊りに行く場所なので、深い話もできないので、段々足が遠のく。アジア人で最後まで行ってる人は非常に少なかったと思う。カルチャーの違いもあるのだと思う。ただ行かなくても特に困ることはないので、気にする必要はない。日本人はホームパーティーなどを開き、少人数でじっくり話しながら、友人と仲良くなっているケースが多いと思う。

2.すべての人と仲良くなる必要はない
日本人は誰にでも愛想よく振る舞う傾向があると思うが、アメリカ人にはそういう感覚はない。どこのMBAの学生に聞いても、一定の割合のアメリカ人は、アメリカ人だけでつるもうとしていて、インターナショナルの学生に興味を示さない。これは日本で、一定数の日本人が外人とつるもうとしないのと同じかもしれない。

自分が、マイノリティーのグループに分類されることが初めてだったので、最初は面を食らった部分もあるが、慣れていくしかない。とは言っても、非常に親切で協力的なアメリカ人もたくさんいるので、基本的には心配する必要はない。すべての人と仲良くなろうとするのは難しいといっているだけである。

3.金銭感覚には留意せよ
MBA生はバックグランドがバラバラで、多くの人が借金を背負って来ている。家がお金持ちだったり、投資銀行出身とかだと、羽振りがいいが、ギリギリに切り詰めて生活をしている人たちもいる。以前、クラスメートが日本食を食べたいというので、食事会を企画したのだが、ある学生から"自分は$20以上の食事はできない"と個別にメールが来て、レストランを変更せざるを得なかったことがある。こうした調整は労力を伴うが、非常に大事なことなので、皆が楽しめるよう、様々な配慮を忘れないようにしたい。余談になるが、アメリカでは、食事会でも、常にベジタリアンメニューを用意するなど、多様な食文化に関する配慮を忘れてはならない。

以上が、自分がMBAで感じた苦労/前後で感じるギャップだ。

卒業まであと9日!!!

P.S. ドイツのノイシュヴァンシュタイン城/ケルン大聖堂



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2015年5月26日火曜日

NPOに対する組織コンサルティング

1年生の必修であるOrganizational Process(組織プロセス)の授業の最終プロジェクトで、ボストンの企業に対して、組織コンサルティングを行った。

実際のプロジェクトの内容について、クライアントを非営利団体(NPO)
のX社のA部門として紹介したい。


A部門のヘッドから課題として提示されたのは、"マーケティング力が弱いため、クライアントが減っている。それにあわせてアメリカ政府からのファンディング額が減っている"というマーケティング上の課題であった。

新しいパンフレットをつくるとか、Facebookでのキャンペーンのために予算をつけるとか、どのようなマーケティング戦略をとるべきかという方法論に飛びつくのではなく、根本的な課題/要因は何なのかを見極めることからスタートした。

今回は組織プロセスの授業だったので、意図的に焦点をそこにあわせているが、実際のビジネスでも、事業がうまくいかない時に、営業/マーケティングのやり方が悪いという単純なものではなく、組織がうまく機能していないことが原因であるケースが多い。

我々のチームは、X社のA部門、他部門、クライアントに対して、総勢17回のインタビューを行い、以下の3つの課題を特定/整理すると共に、それぞれの課題について、解決策の提案を行った。

【提案①】A部門のミッションをX社のミッションと一致させ、統合する
 - Align and Integrate the mission of A department with X company
【課題①】X社の他部門はA部門が何をしているかわからない。A部門のやっていることがX社の方向性/ミッションとどう合致しているのかがわからない
【解決策①】A部門のミッション・ステートメントを作成する。クライアントへのアンケート調査にX部門の事業に関連した質問を組み込む。A部門の提供するサービスのリストを作成し、X社のクライアントに通知する。

【提案②】A部門の中で、コア・バリューを共有し、団結したチームをつくる
- Build a cohesive team based on core values
【課題②】A部門はプロジェクトベースで動いており、モチベーションの維持は個々の熱意に委ねられている。A部門には組織文化がない。A部門では人間関係を深める機会がほとんどない
【解決策②】DropboxやGoogle Documentを使い、資料や情報をシェアできる仕組みを構築する。A部門の営業以外のメンバーも現場(クライアント)を訪問するなど、グループでの活動を設ける。個人やチームの成果を表彰し、シェアする文化をつくる

【提案③】社内・社外との継続的かつ円滑なコミュニケーションを実現する 
- Communicate consistently to internal and external audience
【課題③】A部門の情報がX社全体に行き届いていない。X社の他部門はA部門が何をしているか知らない。A部門と他部門はばらばらにマーケティングを行っている。
【解決策③】ニュースレターを発行し、A部門の実績と今後のプロジェクトをX社全体にシェアする。X社のPR(Public Relations)部門と定期的なミーティングを持ち、共同で情報発信を行う。X社のクライアントに対して、A部門の事業内容を宣伝し、ブランド力を高める


以上が我々が行った提案の概要である。組織プロセスは普遍的な理論/正解があるわけではなく、組織毎のカスタマイズが必要になるので、アプローチの再現性が低い印象を持ちがちだ。しかし、自分としては、根本的な課題(イシュー)が何なのかを徹底的に突き詰め、組織プロセスから課題にアプローチする有効性を実体験できた点がよかったと思う。結果として、我々の提案は、A部門のチームの中で発想として出てこなかった点が多く、非常に満足してもらうことができた。

卒業まであと10日!!!

P.S. ハンガリーのブダペスト



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2015年5月25日月曜日

Airbnbはホテル業界を脅かす存在になるのか!?

以前述べたとおり、シェアリングエコノミーの代表サービスであるAirbnbとそれに対抗する既存プレーヤーの動向を、マリオットを例に、箇条書き形式で紹介したいと思う。Advanced Strategic Managementという授業の中で、AirbnbとMarriottの2チームに分かれ、自分はAirbnbの分析を担当した。

Airbnbとは(数値は2014年12月調査時のもので古くなっている可能性あり

  • 2008年にBrian Cheskyらによって設立され、物件オーナーと旅行者をつなぐ宿泊予約のオンラインプラットフォームを提供
  • 世界190カ国3万4000の都市で展開し、80万の物件と、年間3,000万件の取引あり
  • 2013年で$2.5億ドルの収益があり、NabeWiseなど複数の企業を買収
  • 物件のオーナーから3%の取引手数料、宿泊客から6−12%のサービス料を請求
  • 8.26億ドルを資金調達し、バリエーションは100億ドル。2015年2月時点では、新たに10億ドルを調達し、バリエーションが200億ドルになったとの報道も
  • 競合は、HomeAway、FlipKey、Wimduなど
  • 比較的低価格帯のホテルを利用する顧客層がターゲット。ビジネスユースのサービスも提供開始
  • 最初の2年弱は鳴かず飛ばずだったが、ニューヨークの物件の写真を、Airbnbの運営チームが自分たちで撮影したことをきっかけに、1週間で$400を売上を達成。急速に成長開始<(参考)Airbnbが成功するまでの変遷

Airbnbの強みとは
  • 無限に広がる在庫(世界中のアパート物件が商品に)。ホストと旅行者の間の強力なネットワーク効果
  • 急成長するオルタネイティブロッジング市場(Alternative Lodging Market): 2014年に260億ドルの市場規模(宿泊市場の7%)に達する見込
  • 低い間接費:Airbnbの従業員は600人。従業員1人あたり売上高$420,000(2013年)
  • レビューやレーティングをベースに部屋を探すニーズへの対応
  • ホテルサービスの解体:ホテルの総合サービス(ブランド、デザイン、アメニティ、清掃、セキュリティ、食事、コンシェルジェ、リワードプログラム)を解体し、自分の好きなものを組み合わせるニーズに対応
  • 新しいエコシステムの形成:Airbnbのプラットフォーム上で、様々なベンダーがサービスを提供(物件オーナーのための予約受付、清掃、鍵の引き渡しサービスなど)

マリオット(既存プレーヤー)の反応
  • マリオットは、Airbnbに対抗して、アパートにおける短期の滞在サービスの予約プラットフォームを提供開始
  • 既存のアパートのオーナー、テナントと提携し、マリオットの予約システム上でこれらの物件の予約が可能に。背景には、多くの物件オーナーが短期レンタルを禁止する方向性を示しているため、Airbnbのテナントが法的リスクを抱えるようになり、マリオットは、それを回避する形でサービスを提供
  • Airbnbとの違いは、
    1. クオリティをマリオットが保証(ブランド管理のリスクは上昇)
    2. オーナー、テナント、マリオットの3者で利益をシェア(オーナーも含めて利益をシェアするため、Airbnbに比べ、マリオットの取り分は低下)
    3. マリオットグループのリワードプログラムを提供(Airbnbも同様のサービスを提供可能。強いインセンティブにはならない可能性大)

以上を踏まえると、多少の違いはあるものの、マリオットもAirbnbに同調する戦略をとっており、Airbnbを中心とするオルタネイティブロッジングが大きな脅威になっていることがわかる。マリオットは、既存のホテルビジネスとのカニバリゼーション(共食い)があり、オンライン予約プラットフォームとしてはAirbnbにブランド面で大きく離されていることから、劣勢にたたされているといわざるを得ない。

デジタルカメラの出現で破産したコダックのように、いつの時代にも新規の製品/サービスの出現によって、既存プレーヤーの存在が脅かされる例は枚挙にいとまがない。2010年代は、タクシー業界に対するUber、ホテル業界に対するAirbnbのように、シェアリングエコノミーといわれる新しいトレンド/エコシステムをリードする企業が、大きな脅威になっている。

卒業まであと11日!!!


P.S. ボリビア・ウユニ塩湖の鏡張り





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2015年5月24日日曜日

チームに貢献する9つの方法:あなたはチームにどう貢献する?

Belbin team-role inventoryというチームに必要な9つの役割を定義したものがある。下記に示すこの9つの役割には、それぞれ強みと弱みがあり、これらの役割をバランスよくもつチームが、パフォーマンスを最大化できるというものだ。

Plant: 創造性に長けており、難しい問題を解決できる一方、それに付随して起きる影響を無視する傾向にある
Resource Investigator: 社交的かつ熱狂的で、新しい人脈を築き、新しい機会をつくりだすことができる一方、過度に楽観的で、あきっぽい。
Co-ordinator: マチュアで自信家。ゴールを明確化し、決断を促進するリーダー的存在。人へ仕事を振る(移譲)のがうまい一方、他人には押し付けていると思われやすい。
Shaper: 大胆で、プレッシャーへの耐性が強く、障害を乗り越えるための大きな力となる。一方やや挑発的で、他人の気分を害することもある。
Monitor/Evaluator: 冷静で思慮に長けた戦略家であり、様々なオプションを見た中で、よいものを判断できる。一方、他人を動かす力に欠ける傾向がある。
Team worker: 穏やかで協力的。他人をたて、摩擦を避けようとする。自身で意思決定するのが苦手。
Implementer: 保守的で効率的。信頼でき、アイデアを実際のアクションに変えることができる。やや柔軟性にかけ、新しい機会への反応が遅いことがある
Completer/Finisher: 完璧主義者。抜けや漏れがないかをチェックし、期限にも正確。自分ですべてやってしまいがちで、過度に心配症な傾向がある。
Specialist: 1つの事にひたむきで、突出した技術とスキルを持っている一方、貢献する範囲は狭い傾向がある。

自分がとったデザインシンキングの授業では、まずはじめに、Belbin team-role inventoryの診断テストを受け、上記の9つの中から自分の傾向を把握する。そして、自分の特長を意識して、チームに貢献するよう求められた。

私は、Implementerの数値が一番高く、次いでTeam worker、Co-ordinator、Shaperという順になった。国籍や職歴もばらばらだったが、7人のチームのうち、3人が非常に強いImplementerだったのが面白かった。若いとそういう傾向がでるのだろうか。今回は図書館の改善案を提案するところ止まりだったので、Implementerの役割はやや限定的だったように感じるが、意識的にImplementerになろうとするとなかなか難しい。



話は変わるが、先日、ラテン系を中心とするMIT Sloan生が "今後のInternational Studentsにとって、MIT Sloanをさらによくしていくための改善点をまとめたので、明日Deanに提出する。賛同する人は教えてほしい"という提案をした。

自分的にはやや唐突感があったのだが、案の定、別の学生(コンサルタント出身)が、以下のように反応した。
"この提案だと不満点を述べているのみで、建設的な改善案が書かれていない。従って、やや攻撃的に感じる。また学校自体も様々な施策に取り組んでいるので、それと連携した方がよい。アイデアは非常に素晴らしいので、ベストなアプローチを皆で議論すべきだ"

この反応1つとってみても上記に当てはめると、Plant、Resource Investigator、Shaperが強いラテン系のメンバーに対して、他の学生が、Monitor/Evaluator、Team worker、Implementerの観点から反応したのではないかと思う。

最終的に、"Deanは非常にフレンドリーでオープンなので、分析するだけで行動を起こさないよりは、我々の考えを率直に伝えるべきだ"ということで、Deanとのミーティングが実施された。本件では、Shaperの突破力がMonitor/Evaluatorを上回ったのだと思う。

自分がプロジェクトを統括する立場になった場合に、自分の特徴を踏まえて、誰を勧誘してどういうチームをつくっていくか、自分のチームの強み・弱みは何なのか、をチェックするツールとしては面白いと思う。

卒業まであと12日!!!

P.S. フランス・ロワール地方の古城群




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2015年5月23日土曜日

大学ランキングのお話

やや下世話な話だが、今日は大学ランキングに関する話をしたいと思う。こういった話題は不快に思われる方もいるので、興味がある方だけ見ていただきたい。

たかがランキング、されどランキング。MBA受験の際は、すべての受験生が大学ランキングをある程度意識して受験しているといってよい。MBAの社費派遣の場合、Top10の大学、Top20の大学以外の受験・進学は認めないと明言している会社もある。そして卒業後の就職にも、このランキングが大いに影響を与えている。以下、大学のランキングとMBAのランキングを2つに分けて紹介したい。

世界大学ランキングについて
2013年度の大学ランキングの比較をこちらのSourceから紹介したい。より公平性を保つため、4つのランキング機関の順位を表示する。




MITは、QS World University Rankingsで世界第1位を獲得している。上記のランキングは、アメリカの大学のみを比較したものだが、実際のランキングでもアメリカの大学がほぼTop10を独占している。あとはランキングではないが、Ivy League (Brown, Columbia, Cornell, Dartmouth, Harvard , Pennsylvania, Princeton, and Yale)も、アメリカのエリートが大学を評価する時に用いる基準だ。個人的には、日本よりアメリカの方が学歴社会に感じるので、こういったランキングの影響力は大きい。

なお、QS World University Rankingsだと、日本では東大が32位(2013年)になっている。以前、東大の物理の学部からMITの物理の大学院に進学した学生に聞いてみたのだが、中間層の頭のよさはMITと東大でも大差ないという。ただ、世界中から学生を集めてくるアメリカの大学だけあり、天才の数は、MITの方が多いようだ。

日本の大学は、研究のレベルは一流だと思うのだが、海外から招聘する教授や留学生の比率が低いので、どうしてもランキング上は低くみえてしまう。世界の優秀な学生の獲得競争は年々激しくなってきているので、日本の大学出身者としては、東大・京大をはじめとする日本の大学にぜひ頑張ってもらいたい。アメリカを見ればわかる通り、レベルの高い大学があれば、優秀な留学生がその国に残るようになり、学術・経済の発展につながる。

ビジネススクール(MBA)のランキングについて
次に、2014年3月時点でのビジネススクール(MBA)のランキングの比較表をこちらのSourceから紹介したい(欧州の大学は議論の対象外とする)。上記と同じく4つのランキング機関の順位を表示する。




個人的には、HarvardとStanfordが2強で、それにWhartonが続き、その後が横並びのように感じる。アメリカ人の同級生にどのランキングを信じるか聞いたところ、上記にはないM7(Harvard, Stanford, Wharton, Kellogg, Booth, Columbia, and MIT Sloan)と答える人が多かった。そういう意味でも、U.S. Newsのランキングが一番肌感覚に近いような気もする。Yield Rate(イールドレート)といって、合格者のうち何%の人が実際に進学するかも(≒複数の合格校から最終的に選ばれる確率)、大学のランキングを見る1つの基準だと思う。

あとは起業に興味があったら、Stanford、MIT、U.C. Berkeley、ファイナンスに興味があったら、Harvard、Wharton、Chicago、Columbia、マーケティングであれば、Harvard、Kelloggといった形で、各々の大学の強みをみて、学校選択をすればいいと思う。多くのビジネススクールが、MBA生の出身業界や就職先(Employement Survey)を公表しているので、それを見れば自ずと学校のカラーや、同級生の傾向が浮かび上がってくる。例えば、こちらで触れた通り、MITはTech系の企業に就職する学生が多い。

社費生の場合、合格すること自体も重要なので、Top10の学校だけ受けるという人はあまりおらず、ある程度リスク分散をするケースが多い。従って、自分のやりたいことに強い学校や、生活環境、そして卒業生・在校生との相性などを見ながら、受験する学校を決めていく。多くの学校を受験することで受かる確率を高めることと、1つ1つの出願書類のクオリティが下がることはトレードオフになるので、それを踏まえて出願校の数は判断するとよい。自分は2nd Roundのみで7校出願したが、出願書類を1−2ヶ月で準備したこともあり、かなり限界に近かった。

自分は、以前に述べた通り、技術の商業化に興味があったので、工学の研究で著名かつアントレに強い大学ということで、Stanford、MIT、U.C. Berkeleyを第一志望に設定した。

あとはよくいわれているが、2年間住むところも重要なので、都会がよかったら、ニューヨーク(Columbia、NYU)、シカゴ(Chicago)、ロサンゼルス(UCLA)。郊外の大学街がよかったら、Duke、Dartmouth、Michigan Rossといった形で、大学選びをするとよい。ボストンの魅力は以前に述べたとおりだ。

以上、大学ランキングの所見としたい。

卒業まであと13日!!!

P.S.  9月11日(アメリカ同時多発テロの日)のMITのグレート・ドーム


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2015年5月22日金曜日

フリーミアム時代のデジタルマーケティング

一時期、FREE(フリー)という本が日本でも流行ったので、フリーミアム(Freemium)という言葉を聞いたことがある方も多いと思う。基本的なサービスを無料で提供し、追加の機能などに課金するビジネスモデルだ。今回は、自分が履修した Entrepreneurial SalesとDigital Marketing & Social Media Analyticsの授業で扱ったフリーミアムをご紹介したいと思う。フリーミアムの代表例として取り上げられるクラウドストレージを提供するDropboxはMITの卒業生であるDrew Houstonが創業した会社である(MITの学生にはDropboxの容量が無制限に与えられている)。MITの2013年の卒業式での彼のスピーチも感動的なので、よかったら見てみてほしい(日本語スクリプト)。

That night, I realized there are no warmups, no practice rounds, no reset buttons. Every day we're writing a few more words of a story. And when you die, it's not like "here lies Drew, he came in 174th place." So from then on, I stopped trying to make my life perfect, and instead tried to make it interesting. I wanted my story to be an adventure — and that's made all the difference. - Drew Houston's Commencement address

フリーミアムとは
  • 価格モデルであり、販売モデルであり、ビジネスモデル
  • デジタルでのサービス提供により、製造/輸送等のコストをゼロで実現できる
  • ユーザーになる心理的なハードルが低い
    FREE “Zero as emotional hot button - source of irrational excitement”
  • 興味がある人を実際のユーザーに転換しやすい。営業人員ゼロで実現できる
  • 多くのユーザーを少ないコストで獲得できるため、ユーザーのフィードバックから、サービスをさらに改善できる
  • 有料会員率はDropbox1.6ー4%、LinkedIn0.8%,、Evernote1−6%で、10%以下が一般的(Source: HBS Case Study)
  • コンバージョンレート(無料会員から有料会員になるレート)を高めることが重要
  • コンバージョンレートが低いので、ターゲットとする市場が大きく、ネットワーク効果が働くビジネスでないと成功が難しい
  • プライシングモデルの選択は最重要
    (どの機能に課金をするのか、どのような価格パッケージを用意するか)
  • 大多数の無料会員を活かすには、広告掲載収入や行動分析したデータの販売が考えられる

フリーミアムモデルを分析するプロジェクト

近年、欧米を中心に、音楽ストリーミングサービスが驚異的なスピードで成長している。その代表例が、SpotifyとPandoraである。面白いのは、この2社ともフリーミアムモデルなのだが、全く異なる戦略をとっている。Spotifyは、有料ユーザーからの収益が大半を占めるのに対し、Pandoraは広告収入が大半を占める。2012年において、Spotifyはアクティブユーザー36%、有料ユーザー10%、Pandoraはアクティブユーザー28%、有料ユーザー1%となっている。

Digital Marketing & Social Media Analyticsの最終プロジェクトでは、音楽ストリーミングサービスを提供する
架空の会社の、過去数ヶ月分のユーザーの特性データ(ユーザーやその友人の性別、年齢、国籍、Post、Songs Listened、Loved Tracks、Paid user) が与えられ、1)有料会員の特徴は何か、2)無料会員を有料会員に転換するにはどのようにマーケティングを行うべきか、3)有料会員のコミュニティーへの関与(Social Engagemenet)を高めてその友人を有料会員にするにはどのような手法をとるべきか、を分析する。

        




実際のビジネスにかなり近い形で、欠陥のあるデータも大量にあるので、それらをまずは整理したうえ、回帰分析(Regression analysis)を行い、以下のような表から実際にAdaptor(有料会員)と相関係数が高いものを抽出する。

 screenshot 2.png



この表からわかるのは、LovedTracksの数や有料会員の友人数が多いユーザーは、有料会員に転換しやすいということだ。そこで与えられた無料会員のデータから、上記の特徴に当てはまる人を抽出し、この層に対して、集中的にマーケティングを行うことを提案した。加えて、Social Engagementを高める方法として、既存の有料会員をFacebook上で認知できるようにすることや、有料会員から無料会員への特典コードの配布などを通じて、友人間の影響(Peer influence)の強さを実験することを提案した。


Digital Marketing & Social Media Analyticsの授業は、実際の企業が実務で行っている内容に近かったので、非常に面白かった。

卒業まであと14日!!!


P.S. Boston Celtics(NBA)の今期最終試合
(プレーオフの1回戦でLeBron James擁するCleveland Cavaliersに敗退)





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2015年5月21日木曜日

日本人MBA生の就活における3つの軸

MBAはよく就活予備校と言われる。日本人は社費生が多いので就職活動をしない人も多いが、他国の学生は、大抵リクルーティングが2年間の最優先事項になる。

私費の場合、MBAに来るには、1)仕事を辞めて2年間無給(2年分の機会損失)、2)2年間の総額で1,500万円の授業料、3)最低でも1,000万円の生活費がかかる。つまり、機会損失も含めると、4,000万円以上のお金がかかっていることになる。そのため、多くのMBA生は、金利の安い学生ローン(アメリカだと金利6%前後)でお金を調達し、夏のサマーインターンシップやティーチング・アシスタント(TA)などをしながら収入を得て、生活費の足しにする。MBAを積極的に採用している米国の企業は、それなりの給料を提示するので、多くのMBA生は数年かけてローンを返済していく。

自分は、MIT Sloanが提供するCareer Development Office(CDO)の就職サポートは活用しなかったが、日本人の先輩方が教えてくれたTipsでなるほどと思ったものを共有したい。

それは、MBAにきたことの価値=”1軸は変えられる”である。

軸とは、場所、業種、職種の3つである。1軸を変えるのはMBAパワー、2軸はかなり大変、3軸はほぼ困難といわれている。


1.アメリカで就職したい場合
日本人がアメリカで、アメリカの企業に就職するのは、実際かなりハードルが高い。F1ビザの留学生は卒業後に、OPT(Optionlal Practical Training)を取得できるので、12ヶ月アメリカで働くことができる。しかし、その後は原則として、H1Bビザを取得できなければ、強制送還されてしまう。H1Bビザは、企業からのサポートに加え、毎年抽選で割当が決まるので、企業側にとってH1B以外のビザを持たない学生を採用する負担・リスクは大きい。クラスメートが今年のH1Bビザは、例年以上に競争が厳しかったといっていた。

それでもそれを補うだけのスキルや能力がある場合は、土俵に上がることができる。例えば、日本のトヨタで生産管理の仕事をしていた場合、アメリカのGMで生産管理の仕事につくチャンスがある。上記でいう1軸(場所)の変更だからだ。しかし、GMで新規事業開発の仕事をしようとすると、場所と職種を変えることになり、ハードルがかなりあがる。米国のP&Gで新規事業開発をしようとすると、自動車業界から離れて、3軸すべて変えるので、就職できる可能性は極めて低くなる。

例外は、以下のとおりだ。
  • アメリカ国籍/永住権あり(ビザの面で、雇用主に負担をかけない)
  • 英語がネイティブ級(場所のデメリットを最小化できる)
  • 著名な外資系コンサルティング会社出身(前職で同様のプロジェクトを経験していれば、業種や職種の変更がハードルになりにくい)
  • スタートアップへの就職(業種への壁は低いが、ビザのサポートが弱い。レイオフのリスクも大企業より高い)
  • 起業(ビザが問題になるケースが多い)
  • 特別なコネあり

上記の例外に当てはまらず、アメリカで転職活動をする場合は、下記のようなパターンが考えられると思う。下記の1が、最初に述べた、「1軸は変えられる」のケースであり、米国企業で働く醍醐味を一番味わうことができると思う。それ以外は、日本人という強みを活かしながら、アメリカで就職することになる。
  1. 同業種の非日系企業で、同職種の担当者(スキルで差別化)
  2. 日系企業の米国支社/事務所の現地採用(日本語で差別化)
  3. 非日系企業の日本市場の担当者(日本語/日本市場の知識で差別化)
  4. 日本に関連するビジネスで米国を拠点に起業(日本市場の知識で差別化)

2.日本で就職したい場合:
私が知る限り、以下の会社は、オフィシャルに欧米のMBAを採用している。最も手っ取り早いのは、ボストン・キャリア・フォーラム(通称、ボスキャリ)の参加企業を見ることだ。日本で就職する場合は、2軸、3軸の変更も比較的やりやすい。

投資銀行: Goldman Sachs、Morgan Stanley、Merrill Linch、Deutsche Bank、J.P. Morgan
コンサルティング会社: McKinsey、BCG、Bain & Company、A.T. Kearney、Roland Berger、Strategy & Co、Dream Incubator
事業会社: P&G、Johnson & Johnson、ファイザー、日本イーライリリー、アマゾン、楽天、ユニクロ

******************************

なお、MIT Sloanの2014年の調査によれば、MIT Sloan生の就職先は、McKinsey & Company (32) 、Bain & Company (17) 、Amazon (16) 、Boston Consulting Group (15) 、Apple (10) 、Deloitte Consulting (9) 、Google (9) 、PwC Advisory (9)と続く(カッコ内は人数)。コンサルティング会社がMBA直後の就職先として人気がある。最近の傾向としては、投資銀行の人気が低下し、テック系の会社(Google、Facebook、Apple等)の人気が上昇している。MIT Sloanは、Tech系の企業への就職者の割合が26.1%(2014年)と非常に高くなっている。起業は、同級生から最も注目と尊敬を集めるし、アントレに強いMITでは多くの学生が興味を持っているが、MBA卒業直後に起業する人は、2014年で7.4%と少ない。冒頭に述べたローンのこともあり、アメリカ人といえども、リスクを回避する傾向にあるのだと思う。

自分が就職活動について思うことは、日本人のMBA生は非常に恵まれているということだ。なぜなら、彼らは日本に戻っても、MBAのローンを返済するだけの給料を支払ってくれる企業を簡単に見つけることができる。例えばインド人のクラスメートは、MBA直後は自国に戻ろうとしない。なぜなら、インドに戻っても高給の仕事が見つからないからだ。中国人は、ケースバイケースだが、中国で仕事を見つける場合も、MBA生同士の競争が激しい。例えば、AXIOMの調査によれば、2014年入学の米国MBA(34校)の日本人は148名(社費108名、私費40名)となっており、他の国のMBA生に比べて人数が少ないので、就職活動の競争は厳しくない。

以上が、簡単ではあるが、日本人MBA生の就活の概要だ。

卒業まであと15日!!!

P.S. (現在滞在中の)メキシコのテオティワカン遺跡


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2015年5月20日水曜日

C function: MIT Sloanの日本文化祭

C functionは、MIT Sloanの公式カルチャーイベントで、隔週の木曜日に行われれる国別、テーマ別の文化祭である。Japan C functionは例年9月に行われ、700−800人が参加するSloan最大のC functionである。C functionは、Japan Trekと並んで、Japan Clubにとって最大のイベントで、2年生の時にJapan C functionの代表を務めた。

イベントの運営
以下のチームに分かれて、約1ヶ月かけて準備をしていく。
  • イベント:イベントの企画および当日のイベント運営
  • マーケティング:Facebook、Google group、学内のメーリングリスト/掲示板等への掲載及び販促品(例年、Tシャツ)の企画販売
  • フード:寿司(Sakanaya)、その他惣菜(Itadaki) 、アルコール類(Kirin)の手配
    ※カッコ内は今年度利用したベンダー
  • ファイナンス:予算管理や精算対応
  • 音響・照明担当:当日の音響業者や照明の手配

出し物の内容
今年のイベントは、以下のものを行った。自分もソーラン節と相撲の行司に初挑戦し、いい思い出となった。
  • ソーラン節
  • クラスメートによるファッションショー(Pharrell WilliamsのHappyにあわせて)
    (浴衣姿の女性、学ラン、セーラー服、スーパーマリオ、忍者などなど)
  • クラス対抗尻相撲
  • 全身タイツでの組体操

よかった点
  • MIT Ninjaのコンセプトビデオを1年生がつくってくれたので、マーケティングに大いに活用することができた
  • 販促品のTシャツの販売にSquareを導入し、クレジットカード払いに対応したことで、現金販売と比べて、機会損失が減った。SquareはPOS管理もできるので、在庫管理が容易になった。そのおかげもあってか?、最終的に大幅な黒字となった
  • クラス対抗の尻相撲は、恐らく初めての取り組みだったと思うが、非常に盛り上がった


1つ印象的だったのは、日本人同級生とイベントの運営を行ったことだ。普段は外国人と作業しているので、日本人と働いてみるとその特徴が改めて浮き上がった。日本人は、時間に正確で、ロジに長けており、一度ゴールやスケジュールが決まると、それに向かって一段となって動いていく推進力がある。また、チームでの意見の調和を大切にしていて、多数決ではなく、なるべく全員の合意のうえで、話をすすめようとする(そのため、調整が必要だったり、時間がかかることもある)。自分もそうした日本流の仕事のスタイルが自然と身についているように感じた。加えて、出身業界によっても仕事の進め方が違うので、そこそこ社会人経験をした後だと、新鮮な気付きがあって、面白かった。

何はともあれ、大きなトラブルもなく、イベントを成功裏に終わらせることができたので、本当によかったと思う。

卒業まであと16日!!!

P.S. C functionの様子
(Japan C functionの写真がなかったので、他のC functionの写真で代用)
 

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