2015年6月4日木曜日

MBA生活・ブログの総括 -2年間の学びを振り返る


いよいよ明日は卒業式。人生の次のステップに進むわくわく感と、この2年間が恋しいような不思議な気分だ。1ヶ月前にこのブログをはじめた時に、目次のようなものをつくったが、今日はそれをなぞる形で、ブログの内容をまとめ、MBA生活の学びの総括をしたいと思う。

1.MITで技術の商業化に取り組む
技術の商業化のプロセスについて、I-teams()という授業を通じて、体系的にかつ実践的に学ぶことができた。詳細をブログで語れなかったが、この春にコンピュータ・サイエンスのラボと通信技術の商業化に取り組んだ際にも、このノウハウが活きたと思う。技術という、様々な制約をかかえ、世の中のニーズと100%一致していないところから、ビジネスをスタートしたときに、どのようにマーケット(アプリケーションや地域)を選択し、一つ一つの課題を乗り越えていくべきかの肌感覚を得ることができた。世界トップの理系の大学であり、エンジニアリングとビジネスの融合をモットーとするMITだからこそ得られた貴重な経験だったと思う。

イノベーションの種が次々と生まれ、そして消えていく。研究者・開発者たちが人生をかけて取り組んだ挑戦を1つでも多く世の中に出していくこと。大学生の時に、弁理士の資格を取得したときも同じ気持ちだったが、これを長期的視点で、自分のライフワークにしていきたいと強く感じるようになった。


2.スタートアップへの支援とものづくりへの情熱を確認する
この2年間、世界中を飛び回り、スタートアップ(中国フィリピンセルビア①アフリカ日本)の経営者と議論を交わし、成長戦略や海外展開をサポートし、ビジネスにおける普遍的なアプローチとローカライズの両面の重要性を学んだ。例えば、Entrepreneurial Salesの授業で営業マネジメントを学び、セルビアのプロジェクトでは営業プロセスの構築・導入を実際に支援した。MITがモットーとする理論と実践(Mens et Manus)を通じて、学びをより深いものにすることができた。

また、"日本の企業はグローバル化に課題を抱えている"とよく言われるが、世界中の多くの企業が同じ課題で悩みながら、日々戦っていることを再認識した。

もう1点は、半導体の研究を大学・大学院と行い、金融機関では日本のものづくり企業の支援を行ってきた経験から、やはりものづくりが好きだということを改めて感じ、この2年間ものづくりへの関わりを1つのテーマとして取り組んできた。MITの100Kというビジネスコンペでファイナリストになったアイデアも、短期間お世話になった魔法のリングの会社も、ウェアラブルデバイス関連であった。

一方、ハードウェアスタートアップは、事業化のハードルも高い。少しでも成功率を高めていくためにも、先人たちの経験(初期のハードウェアスタートアップ経営者が絶対に覚えておくべき数字集)から学ぶことが重要であると痛感した。


3.様々な授業を通じて、ビジネスを俯瞰し、知的好奇心を満たす
MIT Sloanの提供する様々なプログラムを通して、知的好奇心を満たすことができた。自分はアントレプレナーシップに関連する多くの授業をとってきたが、それ以外にも複数の興味深い授業を紹介した。

システムダイナミクスを通じて、世の中の複雑な事象を因果関係のループで描き、体系的にとらえることで、事業を成功に導くための俯瞰的視点を得ることができた。また、戦略論の授業を通じて、UberやAirbnbを例にシェアリングエコノミー()などの新しいトレンドを学び、既存ビジネスとの競争、新規参入、代替サービスの脅威について紹介した。

その他、フリーミアムモデルの音楽配信サービスを通じてソーシャル・マーケティングを学び、MITの図書館の課題を通じてデザインシンキングを考え、ボストンのNPOのマーケティング上の課題に組織面からアプローチした。

ビジネスは原理原則が通じないフィールドでもあるが、こうした先人たちの知恵は、困難に直面した時に、どう次のステップを考え、乗り越えていくかを思考する際の礎となるだろう。これらの学びを何かのきっかけで思い出し、Steve Jobsが卒業式のスピーチで訴えたConnecting Dotsとなって、自分の人生の中で、線となって繋がっていくことを待ちたい。


4.リーダーシップ/コミュニケーション能力を高める
課題を通じて、様々な国籍・バックグランドの学生とガチンコ議論1000本ノックを経験し、時には落ち込み、時には達成感を感じ、自信と対応力を身につけた。英語は暗記するものと割り切り、留学する直前までほぼ話したことがない状況から、議論し合える瞬発力を身につけるところまで到達できたことが、グローバルにビジネスを行っていく自信に繋がった。

リーダーシップという日本では馴染みがない言葉も、様々な類型はあれども、実は情熱とコミットメントを示し続けることだという、1つのシンプルな自分の中の解を得ることができた。チームワークで貢献する方法については、自分の強み・弱みを把握し、誰とチームを組み、どういうチームづくりを目指すかのヒントを得ることができた。

日本を紹介するSloanの文化祭MIT Asia Business Conferenceを通して、楽しみながら、イベント運営のノウハウを学び、チームをリードし、若き日の青春を思い出すような気持ちになった。


5.MBA生が通るいばら?の道を紹介する
TOEFL・GMAT等と戦ったMBA受験シリコンバレーを楽しんだサマースクール、MBAの就職活動(日本人MBA生の就活事情レジュメやカバーレターの書き方)、夏のコンサルティング会社でのインターンMBAでの苦労・ギャップといったMBA生の多くが経験するプロセスについても、自分自身の経験を中心に紹介した。こうしたプロセスを通ることで、忍耐力・対応力がつき、一回り成長することができるだろう。MBAの受験生や、これから海外留学をする方々の少しでも参考になればと思う。


6.ボストン生活を楽しむ
ローカルビールの産地であるボストンという街の素晴らしい生活環境を楽しみ、ボーゲル塾という貴重な場を通じて、様々なバックグランドの人々と利害関係なく日本の将来を議論しあい、ネットワーキングができた。初めて日本の外で住んだ街がボストンで本当に幸運であった。この2年間のボストン生活を一生忘れることはないだろう。


ついに明日、卒業!!!

P.S. アメリカのグランド・ティトン国立公園



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