2015年5月1日金曜日

i teams: MITで技術の商業化を学ぶ(2)

i-teamsでの自分のプロジェクトは、Solar thermal energy storageの商業化。太陽熱を室温で蓄熱し、一定の条件下でトリガーをかけると放熱し、蓄熱と放熱を繰り返し行うことができる素材だ。この素材を使ったビジネスを考えるのが、我々のi-teamsの課題である。

Application Map:
まず、ブレインストーミングで30個程度のアプリケーションを考えた。この中から、保温性のある服(Heat clothes)、手袋(Hand warmer)、保育器(Baby warmer)、調理器(Solar cooker)、殺菌器具(Autoclave)等に絞り込んだ。選択基準は、短期でニーズが見込めるか、達成されていないニーズ(Unmet needs)があるか、初期の顧客(Early customer)を認識しているか、その先の大きい市場が認識できるか(Stepping stone)とした。例えば、電気を得にくい極寒地域で、家庭用の外壁に保温材として、この素材を使用するという案は、大きな蓄熱のキャパシティが必要であるため、技術的な課題があり、短期のニーズを見込みにくいという理由で対象から外した。

Functional Assessment:
次にSolar Thermal energy storage materialが他の代替材料に比べて、どのような強み/弱みがあるかを分析した。Energy storage, solar collection, renewable, energy density, temperature triggered, emissions, room temperature storageなどの点で、他の技術(Phase change material)との比較を行う。また、商業化の観点から、コスト、蓄熱の効率性、利便性、素材の安全性、可燃性、スケーラビリティからも他の技術と比較・評価を行った。以上を踏まえて、商業化に向けて、課題、不明点、リスクなどをあぶり出していくと共に、この素材をうまくいかせそうな分野を見極める判断材料にする。

Interview Take Away Chart:

次に、各アプリケーションの専門家やユーザーにインタビューを行う。ここから、商業化に向けて決定的となる欠陥等がないかを見極めていく。インタビューをする相手が答えられる範囲で下記の観点から質問を行う。

マーケット (市場規模、競合・代替技術、顧客セグメント、顧客ニーズ)
生産の必要要件(安全性、耐久性、安定性)
実現性(コスト、規制、その他リスク)
ビジネスモデル(バリューチェーン、パートナーシップ)

例えば、自分は、Baby warmerについて日本の産婦人科の友人にインタビューした。彼からのテイクアウェイは、未熟児/乳児が死ぬ理由は、体温も重要ではあるが、むしろ感染症によるものが大きいというものだ。Baby warmerが致死率に与える影響力は限定的。これは専門家に聞かないとわからない。加えて、体温を36.5-37.5℃に保つため、温度を下げる機能も必要だとのアドバイスをもらった。我々のアプリケーションは、アフリカなどの途上国向けで、日本で使う100万円のBaby warmerと単純比較はできないが、このようにインタビューを通じて多くのインサイトを得ることができた。

なお、途上国では、EmbraceというNPOが提供するPhase change materialを使ったBaby warmerが普及しつつある。Embraceの取り組みは、心に訴えるものがあるので、シェアしたい。世界では毎年、1億人が産まれた日になくなり、3億人が産まれて数週間以内に亡くなっている。




余談1)アメリカのミリタリーからファンディングを受けているMITのLabにインタビューをしようとしたら、アメリカ国籍の人以外は参加できないと言われた。アメリカ軍の情報管理の厳しさを感じる機会となった。

余談2)宇宙服のアプリケーションについて、NASAの宇宙飛行士だったHoffman教授にインタビューをすることができた。回答は厳しいものだったが、定量的で具体的なアドバイスをもらうことができた。NASAの元宇宙飛行士がこんな身近にいるなんてやっぱり凄い。

次回は、残りのAssignmentについて、触れることにしたい。

卒業まであと35日!!!

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