2015年5月2日土曜日

i teams: MITで技術の商業化を学ぶ(3)

いよいよ3回に渡るi-teamsに関するまとめの最終回。

Application picking Exercise
Application Mapで述べた、4つの選択基準(Short-term needs, Unmet needs, Early customer and Stepping stone)に基づき、保温性のある服(Heat clothes)、手袋(Hand warmer)、保育器(Baby warmer)、調理器(Solar cooker)、殺菌器具(Autoclave)を評価し、Heat clothesにアプリケーションを絞った。

どのアプリケーションに絞り込むかは正解がないが、例えば、Solar cookerは、下記のような切り口で対象外とした。
Technology requirement: 素材の持つ熱容量の制限から、一定の調理に限定した用途となる
Use case analysis: 木を燃やして調理する習慣がある中、太陽熱の調理に切り替えるのは、文化的な壁が大きい
Market analysis: 電気がないエリアでは、バイオマス等が多く使われているため、太陽熱がハマるマーケットは小さい

Use Case Assessment
Use Case Assessmentでは、実際に初期のカスタマーを想定し、ストーリーを作り上げていく。下記はそれを簡潔化したもの。実際の課題では、商品化のプロセスやパートナーシップ等についても踏み込んでいく。

スポーツウェア市場、特にハイカーやスキーヤーは保温へのニーズが高い。最初のターゲット顧客は、プロモーションビデオに出てくるような、危険なエリアでスキーをするアクティブな上級スキーヤー。彼らは難関エリアで、スキーを少しでも長く楽しみたいというニーズを持っている。そして、スキー関連の新しい技術に常に注目している。
今日は特に寒く、身体が冷え込む。そんなときは、Thermal Storage Materialのスノージャケットだ。午前中に保温した太陽熱を放熱すれば、あっという間に身体が暖かくなる。至福のひと時。これでもう少しスキーを楽しめそう。

Value creation/capture Exercise
実際にアウトドア用衣料でのマーケット規模を予測し、自分たちが獲得できるマーケットシェアを見積もり、ダウンサイドからアップサイドまでの売上予測を行う。我々は、Gore-Tex型のビジネスモデルが最適と判断した。自社で素材の開発、製品の品質保証、ブランディングを行い、製造や販売は外注する形だ。メリットは、リソースが限定的なスタートアップがより早く商業化にこぎつけることができる点だ。また、適切なパートナーとの連携により、サプライチェーン上のリスクを軽減できる。逆にデメリットは、直接販売をしないため、ユーザーからのフィードバックが限定的になる点である。また、限界利益率が低く、売上増加時の利益幅が限定的になる。

また、ビジネスモデルを考えるに辺り、Ministry of Suppy(http://ministryofsupply.com/)にインタビューを行った。当社は、MITの工学部の学生とSloan MBAの学生が共同で立ち上げたMIT発のスタートアップだ。NASAの宇宙飛行士の服にも使用されているPhase Change Materialを使用した、男性向けの"Performance professional” (フォーマルシャツなど)に特化した衣料メーカーだ。彼らも素材の開発、マーケティング、販売(メインはオンライン)を自社で行い、衣服の製造は外注している。我々のビジネスモデルも彼らのアイデアを一部参考にしている。インタビューでは、「衣料市場は細分化しているので、特定のカスタマーターゲットにフォーカスする必要がある。そして自分たちは、メンズ向けのフォーマル市場を選択した。メンズを選んだのはトレンドの移り変わりがレディースと比べて遅いから」という点が非常に面白かった。



以上が、我々が取り組んだ個別のピースだ。授業の最後に、これまでのアサインメントで得た知見をまとめ、技術的優位性、ユースケース、マーケットポテンシャル、ビジネスモデル、ネクストステップ(技術面及びビジネス面)の観点から、最終プレゼンを行い、Labの教授に最終報告を行った。

ここ(http://recollectmitsloan.blogspot.com/2015/04/i-teams-mit.html)でも述べたように、短期の授業の中で、製品化/販売まで見ることはできないが、真のアーリーステージでビジネスサイドの人間が取るべきアクションが網羅されており、非常によい経験となった。

卒業まであと34日!!!



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