自分は、アメリカ人、メキシコ系アメリカ人、中国系カナダ人と4人でチームを組んだ。3週間という比較的長期に渡り、朝起きてから寝るまでアメリカ人と一緒に生活するのは初めての経験だったので、彼らの話す芸能ネタ、映画、音楽がわからず、ある意味、話のネタを見つけるのが大変だったが、Sloanの生活のハイライトともいえる印象的な経験になったと思う。
クライアントは、東欧セルビアにある30人程度のスタートアップで、Internet of Thingsや信号処理に関連したハードウェアを開発している。今後、組織を50人、100人と拡大していくに辺り、会社に必要な様々な仕組みに関するアドバイスがほしいというもので、具体的に以下の2つのニーズがあった。
- 縁故採用中心のファミリー企業に近い状況なので、事業拡大に向けて、きちんとした組織/人事制度を導入したい
- CEOやCOOの人脈に依存した営業展開で、営業が1人もいないので、事業拡大に向けて、営業組織/営業プロセスを導入したい
複雑な仕組みを導入してもスタートアップには実行が難しいので、シンプルなものになるよう心がけた。こうした将来の組織像は、大抵経営陣の頭のなかにあるけど、それが文章化されていないケースが多いので、まずは彼らに丁寧にインタビューを行い、彼らの考え/ニーズを把握した。CEOから、我々への具体的なリクエストは、"何をすべきに加えて、どうやるかを丁寧に教えてほしい"というものだった。そこで、例えば営業プロセスの一つ一つについて、日毎/週毎/月毎にやるべき仕事内容のTo Do Listと、CRM(Customer Relationship Management)データベースへの入力のやり方を含めて、詳細に記載した。
以下は、Sloanチームが行ったことを箇条書きで記載したい。
組織図:
- 現在の組織図と将来の組織図を人員規模のフェーズに分けて設計する。例えば、従業員50人超で新設するポジション、従業員100人超で新設するポジションを記載する
- 各ポジション毎の仕事内容、レポーティングラインを設計する
採用プロセス/キャリア・パス:
- 採用サイトへの掲載、人からの推薦、LinkedInでのアプローチなど、自社が欲しいと思う人材に対しての最適なコンタクトルートを洗い出す(Talent Acquisiton)
- 次に、インタビューの回数、インタビューワーのポジション、インターンシップの必要性、試用期間など、採用プロセスを決定する
- 続いて、入社後のキャリア・パスを作成する。例えば、エンジニアであれば、入社して、ジュニアエンジニア2年、アソシエイトエンジニア2年、シニアエンジニア2年を経験する。次のステップとして、エンジニア寄りのキャリアを今後も歩んでいくのか、エンジニアの経験を活かせる別のパス(プロジェクトマネージャーやセールスマネージャーなど)も設計する
- 最後に、キャリアパスに基づき、成果、人格、勤務年数、経験等を踏まえた昇進のための基準を設計する
評価システム:
- 人事、評価当事者(マネージャーとエンジニア)、評価委員会の3つにわける
- 人事は、プロジェクト毎の評価(Project Evaluation)と年度末評価(Overall Performance Assessment)に関する評価シートを作成し、評価プロセス全体の統括を行う
- プロジェクト毎の評価は、エンジニアの自己評価+マネージャーの評価で決まり、年度末評価は、プロジェクトの評価と勤務年数をベースに評価する
- 相対評価を採用する場合、各評価項目において、トップ5%をA、上位30%をB、中位60%をC、下位5%をDの4段階評価をする。総合評価で下位5%の場合は解雇も検討する
- 主に経営陣で構成する評価委員会は、上記の2つの評価に基づき、各人の総合評価・昇進の有無・成長ニーズ(改善点)等を決定する
明日は、当社の営業プロセスの構築とマーケティングについて記載する。
なお、ベオグラードは、観光地は少ないが、ステーキが安価で美味しい。3週間もいたので、Trip Advisor上位のレストランや当社の経営陣が薦めるレストランはかなりまわることができた。
にほんブログ村 MBA・MBA取得
0 件のコメント:
コメントを投稿