ラベル スタートアップ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル スタートアップ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年6月2日火曜日

魔法のリングの会社で働く

今、アメリカの国立公園内に滞在していて、Wifiや携帯の電波がない、自然との共生を楽しんでいる。昨日更新できなかったエクスキューズなのだが、気を取り直して残りの記事も書いていきたい。

Ring(社名はLogbar.Incだが、以下製品名のRingで統一する)という製品を知ったのは、2013年の秋。当時Ringが公開したYoutubeの動画がMITの中で話題になっていた。”めちゃくちゃクールだ”とか”こんなの1年でできるはずない”、と友人たちが話をしていたのを思い出す。コンセプトビデオはこちらなので、まだ製品を知らない方がいたらぜひ見てほしい。

Ringは、"Shortcut everything"をコンセプトにするウェアラブルデバイスである。指輪型のデバイスを装着し、指でジェスチャーを描くことで、電球、TV、音楽のOn/Offや、様々なアプリを起動することができる、Internet of Things(IOT)の代表的製品だ。

当時、会社に関する情報がほとんどなかったのだが、調べて見るとどうやら日本の会社らしいということがわかった。ハードウェア・スタートアップの経営に関心があったので、アーリーステージの会社が、資金調達、生産、物流、販売をどのようにやっているか学びたいと思い、会社に直接メールを送り、2週間だけ在籍させてくれないかとお願いしたところ、CEOの吉田さんから快諾いただいた。

当社はコンセプトを発表してから、7ヶ月でKickstarterキャンペーン、1年で製品販売までこぎつけた。ハードウェアのスタートアップとしては異例のスピードだと思う。

私がお邪魔したときは、ちょうど最初の製品の販売直前だったので、販売契約書などのドキュメンテーション/物流の構築/製品パッケージの検討など、ビジネス面での動きが出始めているタイミングで、非常に面白かった。先日紹介した初期のハードウェア・スタートアップ経営者が絶対に覚えておくべき数字集のセミナーに参加したのは、この会社で働いた後だったので、Ringをイメージすることで、セミナーの様々な数字がスーッと頭に入ってきた。

当社について、個人的に特に印象的だったのは、1)マーケティング戦略が非常に素晴らしく、2)ファンディングが理想的に進んでいる点だ。

マーケティングについては、ビデオマーケティングをうまく活用することで、効率的にグローバル展開している。長々としたプレゼンテーションや事業計画書より、一瞬で人を惹きつけるビデオのようなコンテンツの重要性を改めて感じた。日本のスタートアップでありながら、SXSWやCES等のアメリカの展示会を活用し、米国メディアからも注目を集めた。2015年には、CESのInnovation AwardでHonoreeも獲得している。Ringは、イベントに出展すると、必ずビデオを撮影/編集し、ウェブサイト上で公開する。マーケティングにおけるリサイクルの重要性は、セルビアのスタートアップへのコンサルティングでも少し触れたが、それを忠実に実行している会社という印象を受けた。

ファンディングは、ハードウェアスタートアップを最も苦しめるものだと思う。最近は、日本のVC投資もバブっているので、ハードウェアスタートアップに数億円という話も見なくはないが、自分の金融機関の経験を踏まえても、ハードルは高い。Ringは、今のところ、初期投資から、クラウドファンディング、VC投資まで、理想的にファンディングを進めている。初期の従業員を雇う費用は、初期投資がなければ難しかっただろうし、Kickstarterがなければ早期に大量生産までこぎつけるのは難しかっただろう。RingはKickstarterで約$88万ドル(約1億円)を調達しており、世界的に見てもハードウェアスタートアップとして、Kickstarterで最も成功した会社の1つだ。

2015年の4月に第二弾のRing Zeroを発売している。Ringの道のりもすべてが平坦だったわけではないが、日本を代表するハードウェア・スタートアップとして、今後の益々の活躍を期待したい。自分も世界をわくわくさせる製品をつくりたいと感じさせてくれる会社であった。

卒業まであと3日!!!

P.S. アメリカ・イエローストーン国立公園


2015年5月29日金曜日

中国企業の海外戦略における苦悩

China Labという中国企業にコンサルティングをする授業で、中国の北京に2週間滞在した。この授業は、中国の学生とチームを組むのが特徴で、MIT Sloan MBA2人(インド人と自分)と清華大学の中国人MBA2人でチームを組んだ。

我々のクライアントは、大学発の特許を有する高性能LED電球をつくるスタートアップで、アメリカへの海外展開に関する調査の依頼があった。中国でもまだほとんど売上がない状態だったが、コスト面が重視される中国市場より、高性能商品が求められる先進国市場を攻めたいという理由で、海外進出を優先している。

社長が、アメリカにコネのあるブローカーとアメリカの大手量販店との取引を進めており、アメリカ進出の価格戦略を策定するというものだ。こちらでも紹介したが、バリューベース、マーケットベース、コストベースでの価格算定を行ったうえ、最終的に、プレミアム市場(高価格)ではなく、スタンダード市場(中価格)への進出をアドバイスした。

照明の色の質が重視されるプレミアム市場では、当社製品の最大の特徴である”長寿命”が差別化要因にならないことに加え、フィリップスやGEなど著名な照明メーカーが競合としてひしめく中で、無名の中国メーカーがシェアを拡大していくのは非現実的であった

一方、スタンダード市場は市場規模が大きく、"長寿命"などの特徴が重視されるので、他社より安い価格を設定できれば、価格面と性能面で競争力のある製品として、無名のブランドでもシェアを拡大できるのではないか、という仮説だ。

しかし、現状では、スタンダード市場に進出するにも、当社のコスト構造の高さがネックになっている。アメリカで製品を販売する場合、スタートアップ経営者が絶対押さえておくべき数字集でも述べた通り、輸送費(中国から米国への海上輸送と米国内での国内輸送)、関税、そして約30%の量販店に対するマージンがかかるので、コストベースで積み上げていくと、製造コストの約2.5倍が最終販売価格の損益分岐点になる。

LEDはコモディティ化が進んでおり、ブランド力を持つ欧米メーカーの高性能品でもかなり安売りされている。従って、現状のスタンダード市場に進出した場合、我々の試算では、当社の利益がほぼゼロか、若干赤字になってしまう可能性があった。そこで、量産化によるコストダウンに加え、実際に工場を見学し、生産ラインの課題の指摘や自動化の提案などを行い、コスト競争力のある製品をつくるための土台づくりが重要である点を強調した。

MBAの授業では、様々な企業のCEOから海外進出の話を聞くことが多いが、一部の成功企業の裏で、多くの企業が失敗している。ネットワークを持たず、土地勘のないマーケットを攻略するのは非常に難しい。本件でも、中国のプレミアム市場と、アメリカのスタンダード市場のどちらに経営のリソースを割くか、CEOは非常に難しい選択を迫られていた。

自分とインド人の同級生は、過去に仕事でLED市場の調査やコンサルティングをしたことがあったので、当社のCEOと深い議論ができ、非常に楽しい滞在となった。

卒業まであと7日!!!

P.S. 週末に旅行した兵馬俑と西安



にほんブログ村 MBA・MBA取得

2015年5月19日火曜日

成長著しいフィリピンのスタートアップで働く


フィリピンのスタートアップで約2週間のインターンを実施した。アジアの成長している国で働いてみたいという思いと、英語を使う環境で仕事をしてみようという思いから、シンガポールか、フィリピンで働ける先を探していたところ、MIT Sloanの卒業生が創業したKalibrrというスタートアップがフィリピンにあることがわかり、コンタクトをとったのがきっかけだ。

Kalibrrは、現在、フィリピンで最も注目されているスタートアップの1つだ。フィリピンで最初にY Combinatorに採用された企業でもある。日本のベンチャーキャピタルからも出資を受けている。U.C. バークレー出身の2人のフィリピン系アメリカ人が会社を経営している。

Kalibrrのビジョンは、LinkedInのスキルセット版をつくり、伝統的な経歴書(レジュメ)から人の能力を測る採用プロセスの仕組みに、変革を起こすことである。日本では、SPIを提出して、エントリーシートを出して、面接を受けるというプロセスがある程度確立しているが、アジアでは、未だ縁故採用中心で、採用プロセスがないエリアも多い。そうした地域に、デファクトスタンダードとして新しい仕組みを導入していきたいと考えている。

Kalibrrは、まず最初のビジネスとして、コールセンター専用の適正試験を作っており、コールセンター会社がこのテストのスコアで、求職者をスクリーニングするサービスを提供している。フィリピンでは、100人の求職者がコールセンターに応募しても、スキル不足により、実際には10人以下しか採用できておらず、この大量の面接プロセスが採用側にとっての非効率をうんでいる。求職者もこのテストを通じてコールセンターが求めるスキルセットを学ぶことができる。求職者と採用者の両方にとってメリットのある仕組みとなっている。

コールセンターを中心とするBusiness Process Outsourcing (BPO)のビジネスは、インドと並んでフィリピンの一大産業で、今後も需要の拡大が期待されている。Kalibrrは面白いポジションにいると思う。

CEOのPaulは、シリアルアントレプレナーで、自分と年齢が1つしか変わらないが、ビジョナリーで、自分が尊敬する経営者の1人だ。彼の素晴らしいビジョンと情熱、そして人懐っこい笑顔が人を惹きつける要素になっている。

インターンでは、当社の海外戦略の策定、特に日本企業との戦略的提携を視野に入れた市場調査を行った。ただ、インターンの2週目に、会社の社員旅行がかぶってしまい、自分もそれにお呼ばれしたので、フィリピンの滞在は、半分休暇っぽくなってしまった。ただそのお陰で、若い従業員たちとも親交を深めることができた。彼らは、ほとんどが新卒1−2年目だが、フィリピンのトップ大学を出た優秀な人たちだ。

フィリピンは、高い英語力、人口規模、平均年齢の低さ、経済の成長速度、携帯電話の普及率等から、今後大きく伸びるポテンシャルを持っている面白い国だと思う。特に自分が滞在していたマカティ周辺は、ショッピングモールや高層マンションが次々と立ち並んでおり、アジアの大都市らしい勢いを感じる。

一方、課題はインフラ面で、他のアジアの大都市と同様、渋滞が大きな問題になっている。JICAが支援したメガマニラ構想のビデオは非常に興味深いのでよかったら見ていただきたい。インフラ面での整備が進めば、フィリピンには大きな可能性があると考えている。

フィリピン滞在中に、CEOのPaulが共同代表を務めるManila Angelというエンジェル投資家の会合にも参加させてもらった。欧米の投資家たちが複数参加しており、フィリピンが投資対象として注目を浴びていることを、肌で感じることができた。

卒業まであと17日!!!

P.S. 社員旅行で行ったフィリピン・ボラカイ島
(世界で最も美しい島に認定されたこともある)


にほんブログ村 MBA・MBA取得

2015年5月17日日曜日

G Lab: セルビアのスタートアップの営業/組織構築を支援する(2)


昨日に続いて、G Labプロジェクトの続きを記載したい。

当社からのリクエストである、"CEOやCOOの人脈に依存した営業展開で、営業が1人もいないので、事業拡大に向けて、営業組織/営業プロセスを導入したい "という課題に取り組んでいる。

営業プロセス:
  • 営業プロセスは、Identify、Approach、Pitch、Close、Maintainの5つに分類する
  • Identifyは、当社が営業すべき相手をソーシングするリソースを定義する。当社の営業が訪問すべき、地域毎のベンチャーキャピタル、インキュベーター、ハッカソン、展示会、カンファレンス、ビジネスコンペティションなどを具体的に記載する
  • Approachは、上記でIdentifyした相手に対して、どういう優先順位で実際にコンタクトするかを記載する。例えば、問い合わせ対応>展示会等でのアプローチ>LinkedIn>コールドコールなど、優先順位をつけていく
  • Pitchは、まず、現状どういった営業資料を使っているか、それが有効に機能しているかを整理する。次に、専門誌への記事投稿(ホワイトペーパー)、ケーススタディ、クライアントからのフィードバック、展示会への出展、ビデオデモ、個別デモなどの中から、どれが当社の営業スタイルにフィットするかを分析する
  • 現状の営業資料についても、”クライアント名、ケーススタディをいれるべき”、”数値化したクライアントへのベネフィットを記載すべき”等のフィードバックを実施した。あわせて、60秒のエレベーターピッチやコールドメールの文章案を作成した
  • Closeは、現状当社が行っている無料のプロトタイプ制作が、時間及びコスト面で負担になっているので、どの程度の負担感でデモを提供するかの基準を作成する。また、プロトタイプに費やした労力が報われるよう、契約締結後もシームレスにプロジェクトへ移行できるようにアドバイスする
  • Maintainは、プロジェクト終了後に、アカウント責任者を、プロジェクトマネージャーからセールスマネージャー(またはカスタマーサクセスマネージャー)に移行し、顧客からのフィードバックや顧客満足度の調査の管理、定期的なコンタクトによる営業機会の創出を行う

マーケティング:
  • 近年は、アウトバウンド型(プッシュ型:コールドコールなど)の営業からインバウンド型(プル型:顧客の参考となる専門情報を発信することで、顧客からの問い合わせを待つスタイル)の営業に重点が置かれるようになってきているので、営業プロセスと関連して、オンライン上のマーケティングに関しても支援を行った
  • 当社は、営業資料とWebsiteの会社の方針/強みに関するメッセージが一致していなかったので、まずはオンライン上でのマーケティングのメッセージに一貫性がでるようアドバイスをする
  • 例えば、Websiteに、ミッション・ステートメント、会社のコアとなる強み、ケーススタディ、チーム紹介の掲載をすることや、会社紹介ビデオの作成をアドバイスした
  • 次に、欧米では営業/マーケティングとして重要なLinkedInについても、アップデートがほとんどされていなかったり、各従業員の会社の事業に関する記載に一貫性がなかったりしたので、これを修正することからスタートした
  • ソーシャルメディア・マーケティング/リサイクルを実施する
    • 例えば、月初めに専門的内容の500−1500字のブログを書き、Twitterで、ハッシュタグをつけてつぶやく。1週間後に同じブログをLinkedInにポストし、今度は前回と違うハッシュタグやテキストをつけて、Twitterで再度つぶやく。2週間後に、同じブログをFacebook、Google+、Websiteなどにアップロードする。これにより、同じコンテンツをリサイクルしながら、マーケティング活動を強化できる。アメリカでは一般的に取られている方法だ

以上が、前回とあわせて、MIT Sloanチームが当社に対して行った支援だ。幅広いトピックをカバーすることで、自分としても会社を俯瞰する視野が広がった。

当社の支援で感じたのは、会社が本当に成長すべきかは選択であるという点だ。当社のCEOは、現状の規模感で、従業員と友達感覚でいれる方が心地よいと感じている。言葉では成長したいというものの、本当にそう思っているのか疑問な部分があった。一旦、ベンチャーキャピタルから支援を受けてしまうと、否応なしに成長が求められる。ただ当社は、現状自己資金で会社を経営しているので、選択の余地がある。中小企業として安定の道を歩むか、成長して大企業への道を志すか。ビジネススクールにいると、成長が善という感覚を持ってしまいがちだが、これは選択なのだと改めて感じたのであった。

卒業まであと19日!!!

P.S. セルビア滞在中の週末に訪れたギリシャ・アテネ

にほんブログ村 MBA・MBA取得

2015年5月16日土曜日

G Lab: セルビアのスタートアップの営業/組織構築を支援する(1)

Global Entrepreneurship Lab(G Lab)というMIT Sloanの看板授業がある。毎年150人以上のMIT Sloan生が、アジア、南米、アフリカなど、世界中のスタートアップに派遣され、現地の企業に対してコンサルティングを行う。通期の授業に加えて、3週間現地に滞在し、各国のビジネス習慣や文化などをあわせて学ぶ。

自分は、アメリカ人、メキシコ系アメリカ人、中国系カナダ人と4人でチームを組んだ。3週間という比較的長期に渡り、朝起きてから寝るまでアメリカ人と一緒に生活するのは初めての経験だったので、彼らの話す芸能ネタ、映画、音楽がわからず、ある意味、話のネタを見つけるのが大変だったが、Sloanの生活のハイライトともいえる印象的な経験になったと思う。


クライアントは、東欧セルビアにある30人程度のスタートアップで、Internet of Thingsや信号処理に関連したハードウェアを開発している。今後、組織を50人、100人と拡大していくに辺り、会社に必要な様々な仕組みに関するアドバイスがほしいというもので、具体的に以下の2つのニーズがあった。


  1. 縁故採用中心のファミリー企業に近い状況なので、事業拡大に向けて、きちんとした組織/人事制度を導入したい
  2. CEOやCOOの人脈に依存した営業展開で、営業が1人もいないので、事業拡大に向けて、営業組織/営業プロセスを導入したい

複雑な仕組みを導入してもスタートアップには実行が難しいので、シンプルなものになるよう心がけた。こうした将来の組織像は、大抵経営陣の頭のなかにあるけど、それが文章化されていないケースが多いので、まずは彼らに丁寧にインタビューを行い、彼らの考え/ニーズを把握した。CEOから、我々への具体的なリクエストは、"何をすべきに加えて、どうやるかを丁寧に教えてほしい"というものだった。そこで、例えば営業プロセスの一つ一つについて、日毎/週毎/月毎にやるべき仕事内容のTo Do Listと、CRM(Customer Relationship Management)データベースへの入力のやり方を含めて、詳細に記載した。


以下は、Sloanチームが行ったことを箇条書きで記載したい。



組織図:

  • 現在の組織図と将来の組織図を人員規模のフェーズに分けて設計する。例えば、従業員50人超で新設するポジション、従業員100人超で新設するポジションを記載する
  • 各ポジション毎の仕事内容、レポーティングラインを設計する

採用プロセス/キャリア・パス:

  • 採用サイトへの掲載、人からの推薦、LinkedInでのアプローチなど、自社が欲しいと思う人材に対しての最適なコンタクトルートを洗い出す(Talent Acquisiton)
  • 次に、インタビューの回数、インタビューワーのポジション、インターンシップの必要性、試用期間など、採用プロセスを決定する
  • 続いて、入社後のキャリア・パスを作成する。例えば、エンジニアであれば、入社して、ジュニアエンジニア2年、アソシエイトエンジニア2年、シニアエンジニア2年を経験する。次のステップとして、エンジニア寄りのキャリアを今後も歩んでいくのか、エンジニアの経験を活かせる別のパス(プロジェクトマネージャーやセールスマネージャーなど)も設計する
  • 最後に、キャリアパスに基づき、成果、人格、勤務年数、経験等を踏まえた昇進のための基準を設計する

評価システム:

  • 人事、評価当事者(マネージャーとエンジニア)、評価委員会の3つにわける
  • 人事は、プロジェクト毎の評価(Project Evaluation)と年度末評価(Overall Performance Assessment)に関する評価シートを作成し、評価プロセス全体の統括を行う
  • プロジェクト毎の評価は、エンジニアの自己評価+マネージャーの評価で決まり、年度末評価は、プロジェクトの評価と勤務年数をベースに評価する
  • 相対評価を採用する場合、各評価項目において、トップ5%をA、上位30%をB、中位60%をC、下位5%をDの4段階評価をする。総合評価で下位5%の場合は解雇も検討する
  • 主に経営陣で構成する評価委員会は、上記の2つの評価に基づき、各人の総合評価・昇進の有無・成長ニーズ(改善点)等を決定する

明日は、当社の営業プロセスの構築とマーケティングについて記載する。
なお、ベオグラードは、観光地は少ないが、ステーキが安価で美味しい。3週間もいたので、Trip Advisor上位のレストランや当社の経営陣が薦めるレストランはかなりまわることができた。

卒業まであと20日!!!

P.S. セルビアの首都ベオグラード(カレメグダンから眺める夕焼け/1999年のNATO軍による空爆跡)





にほんブログ村 MBA・MBA取得

2015年5月11日月曜日

初期のハードウェア・スタートアップ経営者が絶対おさえておくべき数字集


ボストンのBoltというハードウェア・アクセレレーターのHardware By The Numbersというセミナーが、正直、MBAのアントレ系のどの授業より内容が濃く、実践的だったので、シェアしたいと思う。

MBAの2年間、ハードウェア・スタートアップに関係するプロジェクトを複数行ってきたこともあり、自身の経験を踏まえても腑に落ちるものが多かった。チームの組成から、製品開発、ファンディング、生産、物流、販売、エグジットまで、スタートアップのタイムラインに沿って、網羅されている。

以下、アメリカのハードウェアスタートアップ向けで、かつ経験値的な要素もあり、すべての会社に当てはまるわけではない前提で参照いただきたい。

チーム
  • Founderは2人(プログラマーとディールメーカー)
  • 創業者の株式を50:50でわけるのは避けるべき(どちらかが会社を去る際にトラブルになる)
  • 製品化/規模拡大するために必要な従業員は〜8人(4人のハードウェア担当、2人のソフトウェア担当、2人のオペレーション、ビジネス担当)
  • 超優秀な従業員を採用するために必要な株式は3−10%。シリーズA後にCEOを採用する場合に必要な株式は7−10%
  • 最初の従業員のために用意する株式は2−5%。次の10人に合計10%、次の20人に合計5%、次の50人に5%と続き、最初の80人に長期でのアップサイドを提供
  • ストック・オプションを行使するために必要な最低勤務期間は平均4年
  • 最低10%のオプションプールを新しい従業員向けに用意する
製品開発
  • 製品開発サイクルは6ヶ月が目安、週1で新しいプロトタイプをつくるペースがよい
  • 製品開発/デザインでコンサルタントを雇う費用は$10,000-50,000。IDEOなどのトップファームは、$500,000
  • 特許の権利化費用は、$35,000。権利化にかかる期間は3年以上。特許は取る価値があるか、慎重に見極めるべき
  • ネットプロモータースコア(NPS)は70を目指す(NPSとは、顧客のロイヤルティーを測るツールで、製品の10段階評価で9−10をつける人の割合(%)から、1−6をつける人の割合(%)を引いたもの)
投資
  • 成功しているKickstarterのファンディング額の平均は$92,000。もし$100,000以上のファンディングをターゲットに設定していたら、ファンディング額の平均は$423,000
  • リードベンチャーキャピタルの出資比率のターゲットは20%
  • シードラウンドの投資前価値は平均450万ドル
  • 一回のファンディングで調達する額は、18ヶ月必要な資金
  • ファンディングにかかる期間は平均3−6ヶ月
  • AngelListに登録しても、過去に投資の引受実績がなければ、投資は受けられない
  • 投資家向けのよい説明資料は15ページ前後
  • 融資と投資のバランスは2:1がよい
生産
  • デザインと生産に使う時間は1,000:1(小さなデザイン変更が生産工程に与える影響大)
  • 中国の生産パートナーが引き受ける最低出荷量は5,000個(金額ベースでは年間1百万ドルの出荷金額)
  • 生産委託の際は、10−12の生産パートナーの調査を行い、5つに見積もりをとり、2つと交渉する
  • 生産パートナーを探すプロセスは、調査、見積もり、交渉、契約まで3ヶ月程度
  • デザインの提出から、ライン立上げ、生産、製品の船積みまで平均9ヶ月(早いと6ヶ月)
  • 見積りで注意深く交渉するのは金額の高い3−4つの部品(メモリ、プロセッサー、通信パーツ)に絞るべき(かける時間あたりの効果が限定的であるため)
  • 中国での射出成形金型の費用は最もシンプルなタイプで$6,500
  • 間違ったプロセッサーを選択すると、(ファームウェアが複雑であれば)コードの書き換え等で6ヶ月のタイムロスになる
  • 初期の歩留まりは95%程度。99.5%をターゲットにする
  • 米国で製品認証のテストにかかる費用は最低$15,000
  • 段ボールのコストは$0.25−0.50、製品パッケージは$5−15
物流
  • 中国の船積みからアメリカまでの海上輸送は4週間
  • 航空便は、船便の10倍のコスト。輸送は2日間
  • 関税は地域により異なるが出荷金額の3−5%が一般的
  • サードパーティーロジスティクスは利用する価値あり。出荷金額の2−5%
  • カリフォルニアからニューヨークまでの陸送はパレットあたり$1,000。輸送に4−5日間
  • 小売業者が契約の数量にプラスして、20−100%のバックストックを要求する(バックオーダーを避けるためだが、スタートアップのキャッシュ・フローのネガティブインパクト大)
販売
  • 製品価格は製造コストの2.5倍が損益分岐点。ただし、コストベースで販売価格を設定すべきではない
  • 95セント vs 99セント、120セント vs129セントでは消費者の価格に対する印象はかわらないので、安い価格設定をするべき(95セントと120セントを選択すべき)
  • アマゾンなどのオンラインリテーラーのマージンは、最終販売価格の12−20%
  • BEST BUYなど大型量販店のマージンは、最終販売価格の30−35%
  • アップルストアのマージンは、最終販売価格の50%。ストックも少量だが、ブランディングの観点からトライする価値あり
  • 商品を量販店で展示する販促費用は、1店舗あたり$1,000−5,000
  • モノが実際に売れた時だけ、リテーラーがお金を支払うケースが50ー85%。リテーラーが販売前にモノを購入/支払いするケースのほうが少ない
  • 製品のライフサイクルは一般的に18ヶ月
  • 生産、輸送、卸売、小売といったすべてのサプライチェーン上のリスクは、スタートアップが100%引き受けるものと覚悟すべき
  • 店舗での売上の小売からの入金は90日後に設定されるが、遅延等により150日後になるケースもある
  • $5millionの商品価値のPL保険は、$10,000−30,000
エグジット
  • 自分の技術やプロトタイプ等を大企業にライセンスする場合のロイヤリティは製品売上の2−5%なので、ライセンス型のビジネスモデルの選択は慎重に行う必要あり
  • 同じ売上高でも1回の販売のみで終わるモデルの事業と、繰り返しの販売が見込めるビジネスでは、後者の方が10倍市場価値が高い
  • 成功したスタートアップの平均は、最初のVCの投資から6年で4,200万ドルを集め、2.42億ドルでエグジット
  • エグジットに成功した創業者のうち65%は、税引後で1,000万ドル以下のお金しか得られていない。すなわち、自分が本当に好きな事業をやるべき!!!

以上が、アーリーステージのハードウェア・スタートアップ経営者が絶対おさえておくべき数字集だ。

経営者は、こうしたざっくりした金額/期間に関する数字感をおさえておくことで、事業のリスクを最小化できる。

卒業まであと25日!!!

P.S. MITらしいオブジェ



にほんブログ村 MBA・MBA取得

2015年5月5日火曜日

100K: MITの起業家育成システムに挑戦!

100Kとは、MITで開かれるビジネスコンペティションで、その名の通り、(100K Launchの)優勝チームは、$100,000(日本円で約1,200万円)の賞金を受け取ることができる。面白いのは、大学のビジネスコンテストということもあり、11月の100K Pitch、2月の100K Accelerator、5月の100K Launchといった形で、通年のイベントになっており、9月に入学して、100Kのスケジュールに沿って自分のアイデアを進めていけば、学期末には、一定のものができあがっているという教育的配慮がある。

自分は、日本人のクラスメートと一緒にアイデアを考え、そこに医者出身のカナダ人と日本のメーカーで働いたことのあるタイ人を加えて(全員Sloan生)、チームを組んだ。このメンバーは、皆アントレに興味があり、2年間で最も仲良くなった人たちだ。

我々のチームは、100K Pitchに参加し、優勝こそならなかったが、300近いチームの中から18チームのファイナリストに残り、ヘルスケア部門で観客から最も多くの支持を得ることができた。

ビジネスプランの詳細は割愛するが、以下が実際のピッチ内容である。

20 sec - Problem
Starbucks spends $300 million dollars on healthcare. That’s more than they spend on coffee. 90% of US employers have wellness programs to reduce costs.The problem with current programs is, they're not tied to health outcomes or cost reduction.

30 sec - Solution
Our solution provides companies with an outcome-based social incentive system.
As an employee, you get a wearable device and app (like a FitBit). When you reach your monthly goal of 10,000 steps /day, you get a $10 reward !!! You see in our social network, Michael in Sales reached 20,000 steps/day and got $20 reward !!! You and Michael are competing to improve your health. Your company is saving money on healthcare. Our market is the $1 trillion dollars US companies spend on healthcare each year.

10 sec - Team and Ask
I am a physician working with three engineers. Our advisor runs a wellness program for 20,000 employees. We are seeking a developer and 50,000 dollars to run a pilot program. Thank you.


1分というのは本当に短く、最初の文章案からかなりの部分を削っている。Problem、Solution、Team and Askの大きく3つのパートで構成される。インパクトのある出だし(スターバックスの話)、数字をいれて説得感を持たせること、観衆を主人公にすること(you get a $10 reward !!!)を心がけた。また、1分間のプレゼンに続いて、1分間のQ&Aがあったため、想定問答を15程度つくり、万全の準備で臨んだ。プレゼンは、ネイティブのカナダ人に任せることになったが、彼のプレゼンも本当に素晴らしいものだった。

エレベーターピッチといって、30-60秒のプレゼンを常に考えておくように、とアメリカに来てからよく言われるが、自分たちの本当の価値/訴えたいことは何なのかを整理する意味でもすごく有用だと感じた。

卒業まであと31日!!!

P.S U.S.バージンアイランドの海辺(素晴らしいダイビングスポット)






にほんブログ村 MBA・MBA取得